ニコイチとは?教育原理と社会的養護を同時に突破する戦略

教育原理と社会的養護は、保育士試験9科目のなかで唯一「セットで判定される」科目です。片方だけ6割を超えても合格にはならず、2科目そろって初めて合格が付く。受験生がニコイチと呼んでいるのは、この判定ルールのことです。

そして、ここで止まっている人が本当に多い。他の7科目はそろっているのに教育原理が28点、翌回は教育原理を取れたのに社会的養護が届かない——この往復に2年、3年とかけてしまうケースは珍しくありません。この記事では、ニコイチのルールを条件どおり正確に確認したうえで、なぜここで詰まるのかを構造から説明し、時間の割り振り方まで具体的に書きます。

ニコイチのルールを正確に確認する

まず、他の科目と何がどう違うのかを数字で並べます。ここを曖昧に覚えていると、対策の優先順位を間違えます。

教育原理社会的養護他7科目(例:保育原理)
問題数10問10問20問
満点50点50点100点
1問の配点5点5点5点
合格ライン30点(6問正解)30点(6問正解)60点(12問正解)
許される取りこぼし4問まで4問まで8問まで
判定2科目同時に30点以上で両方合格2科目同時に30点以上で両方合格科目ごとに単独判定

見るべきは最後の行です。教育原理と社会的養護は、それぞれ30点以上を同じ回で同時に満たさないと、どちらも合格になりません。組み合わせを表にすると次のようになります。

教育原理社会的養護結果
30点以上30点以上両方とも科目合格
30点以上30点未満両方とも不合格(教育原理の得点は残らない)
30点未満30点以上両方とも不合格(社会的養護の得点は残らない)
30点未満30点未満両方とも不合格

ここが出る(というより、ここで泣く)

「教育原理は40点取れていたから、次は社会的養護だけやればいい」——これは成立しません。40点は記録として残りません。次の回も、教育原理と社会的養護の両方を30点以上取る必要があります。科目合格の有効期間(合格した年を含めて3年)が効くのは、あくまで“2科目そろって合格した”場合だけです。

例外は科目免除がある場合だけです。幼稚園教諭免許状を持っている人は「保育の心理学」と「教育原理」、および実技試験が免除されるため、社会的養護を単独で6割取れば済みます。社会福祉士・介護福祉士・精神保健福祉士の資格を持つ人は「社会福祉」「子ども家庭福祉」「社会的養護」が免除されるため、教育原理を単独で6割取れば済みます。免除の該当がない人には、片方だけという選択肢はありません。

なぜニコイチで落ちる人が多いのか

「難しいから」で片づけると対策が立ちません。落ちる理由は3つに分解できます。

理由1:1問の重みが他科目のちょうど2倍

配点は同じ5点でも、母数が違います。20問の科目なら1問は全体の5%ですが、10問の科目では1問が全体の10%。教育原理で2問落とすことは、保育原理で4問落とすのと同じダメージです。

しかも合格ラインは6問正解。5問正解=25点で、あと1問というところで不合格になります。「たまたま知らない用語が2つ出た」だけで、合格圏から一気に落ちる構造です。他科目なら知らない用語が2つあっても余裕で吸収できますが、10問科目では吸収する余地がありません。

理由2:10問しかないのに、出題範囲が広い

この2科目は「10問に対して守備範囲が広すぎる」という不均衡を抱えています。出題の柱を並べると、その広さがわかります。

科目主な出題領域問われ方
教育原理西洋の教育思想家(コメニウス〜デューイ以降)人物と著書・キーワードの組み合わせ
教育原理日本の教育史(近世の私塾〜大正自由教育〜戦後)人物と学校・実践名の組み合わせ
教育原理教育基本法・学校教育法・日本国憲法第26条条文の穴埋め、条文どおりかの正誤
教育原理幼稚園教育要領・保育所保育指針文言の穴埋め、出典の特定
教育原理生涯学習・特別支援教育・答申等用語の定義、施策の内容
社会的養護日本の児童保護の歴史と人物人物と施設・年代の組み合わせ
社会的養護児童福祉施設の種類・役割・対象施設名と対象児童の組み合わせ
社会的養護里親制度・ファミリーホーム・養子縁組種類の区別、要件、委託期間
社会的養護運営指針・新しい社会的養育ビジョン等文言の正誤、理念・原理の内容
社会的養護被措置児童等虐待、第三者評価、自立支援手続きと責任主体
社会的養護統計(施設数・入所児童・里親等委託率)傾向の正誤

11の柱に対して、出るのは合計20問。つまり1つの柱から出るのは平均1問前後です。得意な柱を作っても、そこから出ないことが普通に起こります。だからこの2科目は「深く1点」ではなく「浅くても全部の柱に触れておく」ほうが期待値が高い。ここが他科目と発想が逆になるポイントです。

理由3:片方に偏った勉強が、そのまま裏目に出る

多くの人は、どちらか一方を先に完璧にしようとします。社会的養護は施設や制度の話で身近に感じられるので先に手を付け、教育原理の思想家は後回しになりがちです。

ところが判定は同時。社会的養護45点・教育原理25点は、両方25点と結果が変わりません。2科目の合計が70点あっても不合格です。この配点設計では、片方を40点台に磨き上げる努力より、両方を32点前後まで持ち上げる努力のほうが合格に直結します。

引っかけポイント

「合計60点なら通るのでは」と考える人がいますが、合計での判定は行われません。判定は各50点満点に対して各30点以上。合計点という概念は存在しません。同じ理由で、教育原理で満点を取っても社会的養護の不足を補うことはできません。

数字で見る:落ちるのは普通のこと

責める材料ではなく、計画を立てるための材料として数字を置きます。

項目数値出典・年度
受験申請者数54,807人令和7年度・こども家庭庁
合格者数10,621人令和7年度・こども家庭庁
合格率19.4%令和7年度・こども家庭庁

5人受けて1人受かるかどうか、という試験です。さらに、合格した人が何回目の受験で合格したかを見ると景色が変わります。

合格までの受験回数合格者に占める割合
1回目15.0%
2回目32.9%
3回目22.1%
4回目以上29.0%

※この受験回数の内訳は、こども家庭庁が公表している統計ではなく、民間の資格講座が実施した合格者アンケートにもとづく参考値です。こども家庭庁の公表資料にある確定値は、令和7年度の受験申請者54,807人・合格者10,621人・合格率19.4%(うち全科目免除者1,996人)です。

1回で受かった人は15.0%。裏を返すと、合格者の85%は複数回受験しています。しかも最も多いのは2回目合格で、3人に1人。つまり「1回落ちてから受かる」が、この試験のいちばん標準的なコースです。

ニコイチだけが残っている状態は、失敗というより合格者の多くが通る途中経過です。

学習配分:2科目は「交互」ではなく「同時」に回す

ニコイチ対策で最初に決めるのは、科目の順番ではなく同じ日に両方触るかどうかです。判定が同時である以上、仕上がりも同時に来る必要があります。

配分の原則

  • 時間配分は教育原理:社会的養護=1:1を基本にする。得意不得意で崩さない。
  • 1日30分しか取れない日でも、15分ずつ2科目に割る。片方をゼロにする日を作らない。
  • 先に「共通コア」(人物・年号・法令名)をまとめて処理する。この2科目は人物と年表で内容が重なる部分があり、まとめたほうが効率がいい。
  • 各領域の目標は満点ではなく7割。全領域7割のほうが、2領域満点+3領域ゼロより合格に近い。

8週間で仕上げる場合のモデル

時期教育原理社会的養護共通してやること
1〜2週目西洋の思想家/日本の教育史日本の児童保護史/人物人物カードを1枚にまとめる
3〜4週目教育基本法・学校教育法の条文児童福祉法の施設と里親制度年表を1枚にまとめる
5週目幼稚園教育要領・保育所保育指針各種運営指針・養育ビジョン指針の頻出文言を音読
6週目生涯学習・特別支援教育・答申被措置児童等虐待・第三者評価・自立支援手薄な柱を洗い出す
7週目過去問3回分を通しで過去問3回分を通しで間違えた選択肢だけノート化
8週目誤答の再テストのみ誤答の再テストのみ直前チェックリストで総ざらい

7週目に過去問を「通しで」入れるのが要点です。1問ずつ解くと10問科目の時間感覚が身につきません。

優先順位を1行で言うと

人物法令・年号施設・制度 → 指針の文言 → 統計。この順で固めます。人物と年号は覚えれば確実に点になる一方、統計は年度で数値が動くうえ出題は多くて1問。最後でかまいません。

本番の10問をどう解くか

知識が同じでも、解き方で1〜2問は変わります。10問科目では、その1〜2問が合否そのものです。

場面やること理由
解き始め10問をざっと見て、確実な問題から埋める10問しかないので、迷った1問に時間を使うと全体が崩れる
組み合わせ問題(A〜Dの正誤)確信のある1つの記述から選択肢を消す4記述すべてを判定しなくても、1つ確定すれば2択まで絞れることが多い
出典を問う問題「これは指針か、要領か、法律か」を先に判断する出典さえ特定できれば、文言のニュアンスで正解を選べる場合がある
まったく知らない用語飛ばして最後に戻る。空欄にはしない4問までは落としてよい。1問に固執する損のほうが大きい
見直しマーク位置のズレを最優先で確認10問科目でのマークずれは即不合格に直結する

引っかけポイント

この2科目は「言い切り」の選択肢が誤りであることが多い、という定番の傾向があります。ただしこれは判断の最後の手がかりにしてください。知識で判断できる問題を、テクニックで処理しようとするのが最も危ない。テクニックは、本当に知らない1〜2問のためだけに取っておきます。

りわさんメモ

(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:1回目は社会的養護だけ40点で、教育原理が26点。同じ2科目をもう一度やり直すのが本当につらかったので、2回目は毎日15分ずつ両方に触れるようにした。)

まとめ:ニコイチ突破の要点

論点結論
判定方法各10問・各50点満点。同じ回で各30点以上を同時に満たす必要がある
片方だけ合格免除該当者を除き、成立しない。得点は翌回に持ち越されない
落ちやすい理由1問の重みが2倍/範囲が広い/偏った勉強が結果に反映されない
目標設定各領域7割。満点狙いではなく取りこぼし4問以内
時間配分2科目を1:1で、同じ日に両方触る
優先順位人物 → 法令・年号 → 施設・制度 → 指針 → 統計
メンタル合格率は2割前後。複数回かけて合格する人が大多数で、ここで止まるのは標準的な途中経過

試験の日程・受験申請の詳細は、必ず公式で確認してください。

よくある質問

教育原理と社会的養護は、どちらから勉強を始めるべきですか?

どちらか一方から、という組み方をおすすめしません。判定が同時である以上、仕上がりも同時に来る必要があります。1日の学習時間を半分に割って、両方に毎日触れる形が最も安全です。どうしても順番をつけるなら、2科目で内容が重なる「人物」と「年表」を共通コアとして先にまとめて処理し、そのあとで各科目の固有領域に入る形にします。

片方が30点以上でも、その科目は次回に持ち越せませんか?

持ち越せません。教育原理と社会的養護は同じ回で両方30点以上を満たしたときにのみ科目合格が付き、その場合に限って合格年を含めて3年間有効になります。片方が29点以下だった回は、もう一方が満点でも科目合格は発生しません。次の回も両方を受け直すことになります。

ニコイチだけ残った状態から、どのくらいの期間で合格できますか?

個人差が大きいため期間を断定できませんが、範囲そのものは9科目全体から見れば限られています。データとして言えるのは、合格率が近年おおむね2割前後で推移しており(令和7年度は19.4%/こども家庭庁)、1回の受験で9科目すべてを取り切る人は少数派だということです。次の1回で決めるつもりで、2科目に絞った配分を組むのが現実的です。

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