幼稚園教育要領は、教育原理でほぼ毎回1〜2問出ます。しかも保育所保育指針と文言がよく似ているため、「どっちに書いてあったか」で迷わせるのが定番の作り方です。3法令の共通部分と、違う部分をはっきり分けて持っておくのが最短ルートになります。
この記事では、幼稚園教育要領・保育所保育指針・幼保連携型認定こども園教育・保育要領の3法令を、対応関係の表で整理します。あわせて「3つの資質・能力」と「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)」を、そのまま暗記できる形で載せます。
ここが出る
直近の出題です。令和8年前期は問2で幼稚園教育要領(特別な配慮を必要とする幼児への指導)の穴埋め、令和7年後期(地域限定)も問2が幼稚園教育要領の穴埋め。(出典: 全国保育士養成協議会「過去の試験問題」)
問2は幼稚園教育要領と決め打ちして準備しておく価値があります。
3法令はいつ・誰が告示したのか
3つとも平成29年(2017年)3月31日に同時に告示され、平成30年(2018年)4月1日から施行・適用されています。同時改訂だったからこそ、内容が揃えられました。
| 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針 | 幼保連携型認定こども園教育・保育要領 | |
|---|---|---|---|
| 告示 | 平成29年3月31日 文部科学省告示 | 平成29年3月31日 厚生労働省告示第117号 | 平成29年3月31日 内閣府・文部科学省・厚生労働省告示 |
| 適用 | 平成30年4月1日 | 平成30年4月1日 | 平成30年4月1日 |
| 現在の所管 | 文部科学省 | こども家庭庁 | こども家庭庁(文部科学省と連携) |
| 施設の根拠法 | 学校教育法 | 児童福祉法 | 認定こども園法(就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律) |
| 施設の性格 | 学校(第1条学校) | 児童福祉施設 | 学校かつ児童福祉施設 |
| 対象年齢 | 満3歳から小学校就学の始期に達するまで | 0歳から小学校就学の始期に達するまで | 0歳から小学校就学の始期に達するまで |
| 職員 | 幼稚園教諭 | 保育士 | 保育教諭(幼稚園教諭免許状と保育士資格の併有) |
| 章構成 | 第1章 総則/第2章 ねらい及び内容/第3章 教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動などの留意事項(全3章) | 第1章 総則/第2章 保育の内容/第3章 健康及び安全/第4章 子育て支援/第5章 職員の資質向上(全5章) | 第1章 総則/第2章 ねらい及び内容並びに配慮事項/第3章 健康及び安全/第4章 子育ての支援(全4章) |
引っかけポイント
章構成の数が3つとも違います。幼稚園教育要領は3章、認定こども園要領は4章、保育所保育指針は5章。「保育所保育指針は全3章」のような選択肢は誤りです。ここは数だけでも覚えておくと1問拾えます。
所管の言い換えにも注意。保育所保育指針は平成29年当時は厚生労働省告示ですが、2023年4月のこども家庭庁発足により、現在の所管はこども家庭庁です。「保育所保育指針は現在も厚生労働省が所管している」は誤りになります。告示者(当時)と現在の所管を分けて理解してください。
「子育て支援」と「子育ての支援」。保育所保育指針の第4章は「子育て支援」、認定こども園教育・保育要領の第4章は「子育ての支援」。助詞の「の」が入るかどうかが違います。細かいですが、実際に穴埋めで問われうる差です。
3つの資質・能力|3法令に共通
平成29年改訂の目玉が、これです。幼児期にふさわしい生活・遊びを通して一体的に育むものとして、3つの柱が示されました。小学校以降の学習指導要領の「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」に対応し、幼児期は「基礎」がつくのが特徴です。
| 3つの資質・能力 | 小学校以降との対応 | 覚えどころ |
|---|---|---|
| 知識及び技能の基礎 | 知識及び技能 | 豊かな体験を通じて、感じたり気付いたり分かったりできるようになること |
| 思考力、判断力、表現力等の基礎 | 思考力、判断力、表現力等 | 気付いたことや できるようになったことを使い、考えたり試したり工夫したりすること |
| 学びに向かう力、人間性等 | 学びに向かう力、人間性等 | 心情、意欲、態度が育つ中で、よりよい生活を営もうとすること |
引っかけポイント
3つ目だけ「基礎」がつきません。「学びに向かう力、人間性等の基礎」と書かれていたら誤りです。1つ目と2つ目には「基礎」がつき、3つ目にはつかない。ここは頻出の引っかけです。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:この範囲は1回目に落とした。◯◯の順で覚え直したら本番で取れた。)
幼児期の終わりまでに育ってほしい姿(10の姿)
3法令すべてに、同じ10項目が同じ順番で示されています。これは5歳児後半の具体的な姿であり、小学校の教師と共有することで幼小接続をなめらかにするためのものです。
| # | 名称 | 内容の要点 |
|---|---|---|
| 1 | 健康な心と体 | 見通しをもって自ら健康で安全な生活をつくり出す |
| 2 | 自立心 | 自分の力で行うために考え、諦めずにやり遂げ、達成感を味わう |
| 3 | 協同性 | 友達と思いを共有し、工夫・協力して目的を実現する |
| 4 | 道徳性・規範意識の芽生え | してよいこと・悪いことが分かり、きまりをつくったり守ったりする |
| 5 | 社会生活との関わり | 家族・地域とのつながり、情報の活用、公共施設への親しみ |
| 6 | 思考力の芽生え | 多様な関わりの中で気付き、予想し、工夫し、考え直す |
| 7 | 自然との関わり・生命尊重 | 自然への畏敬の念、身近な動植物への いたわり |
| 8 | 数量や図形、標識や文字などへの関心・感覚 | 遊びや生活の中で必要感から数量・文字などに親しむ |
| 9 | 言葉による伝え合い | 経験したことや考えたことを言葉で伝え、相手の話を聞く |
| 10 | 豊かな感性と表現 | 心を動かす出来事に触れ、感じたことを表現し、意欲をもつ |
ここが出る
10の姿は「到達目標」ではありません。ここが最大の出題ポイントです。要領・指針には「目指す方向性を意識して指導を行う際に考慮するもの」という趣旨で位置づけられており、個別に取り出して指導するものでも、達成度を評価するチェックリストでもありません。「10の姿は全ての幼児が卒園までに達成すべき目標である」といった選択肢は誤りです。
同時に、5領域のねらい及び内容に基づく活動全体を通して資質・能力が育まれている幼児の、幼児期の終わりごろに見られる具体的な姿である、という位置づけも押さえてください。5領域と10の姿は1対1で対応しているわけではありません。
覚え方
順番まで問われることは多くありませんが、10個を漏れなく挙げられるかは問われます。「健康・自立・協同・道徳・社会・思考・自然・数量文字・言葉・表現」の10語で頭出しし、そこから正式名称に戻す形が実用的です。「道徳性・規範意識の芽生え」「思考力の芽生え」の“芽生え”が抜けている選択肢はよくある誤りなので、この2つには芽生えがつくと覚えてください。
5領域と、年齢による扱いの違い
3歳以上児の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)は3法令で共通です。違いは3歳未満のところに出ます。
| 年齢区分 | 幼稚園教育要領 | 保育所保育指針/認定こども園教育・保育要領 |
|---|---|---|
| 乳児(0歳台) | 対象外(満3歳から) | 3つの視点:健やかに伸び伸びと育つ/身近な人と気持ちが通じ合う/身近なものと関わり感性が育つ |
| 1歳以上3歳未満 | 対象外 | 5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現) |
| 3歳以上 | 5領域 | 5領域(幼稚園・認定こども園と整合を確保) |
乳児保育の「3つの視点」は保育所保育指針・認定こども園要領にしかありません。幼稚園は満3歳からなので、そもそも乳児の記述がない。この理屈さえ分かっていれば、「幼稚園教育要領には乳児保育の3つの視点が示されている」という選択肢を切れます。
3つの視点と5領域の対応
| 3つの視点(乳児) | つながる5領域 |
|---|---|
| 健やかに伸び伸びと育つ(身体的発達に関する視点) | 健康 |
| 身近な人と気持ちが通じ合う(社会的発達に関する視点) | 人間関係・言葉 |
| 身近なものと関わり感性が育つ(精神的発達に関する視点) | 環境・表現 |
時間・週数の違い(数字で問われる部分)
| 項目 | 幼稚園 | 保育所 |
|---|---|---|
| 1日の教育(保育)時間 | 教育課程に係る教育時間は4時間を標準とする | 保育時間は1日につき8時間を原則とし、保育所長が定める |
| 年間の週数 | 教育課程に係る教育週数は特別の事情のある場合を除き39週を下ってはならない | 規定なし(原則として通年) |
| 根拠 | 幼稚園教育要領 第1章 総則 | 児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第34条 |
「4時間」「39週」「8時間」の3つの数字は、そのまま穴埋めになります。「4時間を上限とする」ではなく「4時間を標準とする」である点にも注意してください。
3法令の違いを1枚にまとめる
| 論点 | 共通か違うか | 内容 |
|---|---|---|
| 3つの資質・能力 | 共通 | 3法令すべてに同じ3つが示されている |
| 10の姿 | 共通 | 3法令すべてに同じ10項目が同じ順で示されている |
| 3歳以上の5領域 | 共通 | 健康・人間関係・環境・言葉・表現 |
| 乳児保育の3つの視点 | 違う | 保育所保育指針・認定こども園要領のみ(幼稚園は対象外) |
| 章の数 | 違う | 幼稚園3章/認定こども園4章/保育所5章 |
| 「養護」の記述 | 違う | 保育所保育指針は総則に「養護に関する基本的事項」を置き、養護と教育の一体的展開を明記。認定こども園要領にも養護の記述がある |
| 職員の資質向上の独立章 | 違う | 保育所保育指針のみ第5章として独立 |
| 子育て支援の章名 | 違う | 保育所保育指針は「子育て支援」、認定こども園要領は「子育ての支援」 |
| 教育時間・週数の規定 | 違う | 幼稚園のみ4時間・39週の規定がある |
一次資料はこども家庭庁「教育・保育要領 告示文・解説」から確認できます。試験直前は、市販テキストの要約ではなく告示本文の目次を眺めるのが確実です。
よくある質問
幼稚園教育要領と保育所保育指針、どちらを優先して読むべきですか?
保育士試験全体では保育所保育指針が圧倒的に優先です。保育原理・保育実習理論などで大量に出題されます。ただし教育原理に限っては幼稚園教育要領のほうが出ます。教育原理の対策としては、まず保育所保育指針を頭に入れたうえで、幼稚園教育要領との差分だけを追加で覚えるのが効率的です。
「10の姿」は順番まで覚える必要がありますか?
順番を問う出題は多くありません。優先すべきは、10項目を漏れなく挙げられること、名称を正確に言えること(「道徳性・規範意識の芽生え」「思考力の芽生え」の“芽生え”を落とさない)、そして到達目標ではないという位置づけを理解していることの3点です。
3法令は改訂される予定はありますか?
2026年8月時点で施行されているのは、いずれも平成29年(2017年)告示・平成30年4月1日適用のものです。保育士試験は原則として試験実施年の4月1日時点で施行されている法令等に基づいて出題されるため、現行の告示で学習してください。改訂の議論が進んだ場合は、こども家庭庁と文部科学省の告示を確認するのが確実です。
