教育原理10問のうち、問1はほぼ毎回、法令の条文穴埋めです。しかも出てくる法令は教育基本法・学校教育法・日本国憲法にほぼ固定されています。範囲が狭く、答えが一意に決まる。教育原理でいちばん確実に取れる1問がここです。
この記事では、教育基本法と学校教育法の頻出条文を、実際に空欄になる語まで含めて整理します。10問中6問(30点)を取るための土台になる部分なので、ここは丸暗記に近い形で潰してください。
ここが出る
直近の出題です。令和7年後期(地域限定)は問1が教育基本法第4条(教育の機会均等)の穴埋め、令和8年前期は問1が日本国憲法第26条の穴埋めでした。令和7年前期は問2で学校教育法第22条(幼稚園の目的)が問われています。(出典: 全国保育士養成協議会「過去の試験問題」)
つまり問1〜問2は法令の条文と考えて準備しておけば、2問(20点)を計算できます。
教育基本法は「平成18年に全部改正されている」ことから確認
現行の教育基本法は平成18年(2006年)法律第120号です。昭和22年(1947年)の旧法を全部改正したもので、条文数は11条から18条に増えました。試験に出るのはすべて現行法(平成18年改正後)です。旧法にはなかった条文が新設されている点が、そのまま出題ポイントになります。
| 平成18年改正で新設された主な条文 | 内容 |
|---|---|
| 第3条 | 生涯学習の理念 |
| 第10条 | 家庭教育 |
| 第11条 | 幼児期の教育 |
| 第13条 | 学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力 |
| 第17条 | 教育振興基本計画 |
幼児期の教育(第11条)と家庭教育(第10条)が新設されたという事実そのものが問われます。「旧法から一貫して規定されている」と書かれていたら誤りです。
教育基本法の頻出条文|空欄になる語を太字で
第1条(教育の目的)
教育は、人格の完成を目指し、平和で民主的な国家及び社会の形成者として必要な資質を備えた心身ともに健康な国民の育成を期して行われなければならない。
教育基本法第1条(平成18年法律第120号)/e-Gov法令検索
空欄になるのは「人格の完成」が圧倒的です。次いで「形成者」。似た言葉として「人間性の涵養」「人格の陶冶」などが誤答選択肢に並びますが、条文は「人格の完成」です。この5文字は絶対に落とさないでください。
第2条(教育の目標)
第1条の目的を実現するための5つの目標です。柱書は「教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。」。
| 号 | 内容(要点) | 空欄になりやすい語 |
|---|---|---|
| 一 | 幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと | 真理/情操/道徳心 |
| 二 | 個人の価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと | 創造性/自主及び自律/勤労 |
| 三 | 正義と責任、男女の平等、自他の敬愛と協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと | 公共の精神/主体的/参画 |
| 四 | 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと | 生命/環境の保全 |
| 五 | 伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと | 伝統と文化/我が国と郷土/他国を尊重 |
5号すべてを暗唱する必要はありません。柱書の「学問の自由を尊重しつつ」と、各号の頭のキーワード(知識と教養/個人の価値/正義と責任/生命/伝統と文化)を押さえておけば、穴埋めは対応できます。
第4条(教育の機会均等)
すべて国民は、ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず、人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない。
教育基本法第4条第1項/e-Gov法令検索
第2項が障害のある者への教育上必要な支援、第3項が経済的理由により修学困難な者への奨学の措置です。令和7年後期の問1はこの条文でした。
引っかけポイント
「能力に応じて」と「能力に応じた」を混同しない。日本国憲法第26条第1項は「その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」、教育基本法第4条第1項は「ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会を与えられなければならず」。憲法は「権利」、教育基本法は「機会」という違いもあります。並べて出されると崩れやすいので、必ず対で覚えてください。
また、差別禁止事由の列挙は「人種、信条、性別、社会的身分、経済的地位又は門地」。憲法第14条の「人種、信条、性別、社会的身分又は門地」に「経済的地位」が加わっているのが教育基本法です。ここも入れ替えられます。
第11条(幼児期の教育)
幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
教育基本法第11条/e-Gov法令検索
保育士試験で最重要の条文です。空欄になるのは「生涯にわたる人格形成の基礎」。この語は保育所保育指針にも出てくるので、指針とセットで覚えると二重に効きます。「幼児期の教育」であって「幼児教育」でも「就学前教育」でもない点にも注意してください。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:この範囲は1回目に落とした。◯◯の順で覚え直したら本番で取れた。)
その他、出やすい条文
| 条 | 見出し | 覚える一言 |
|---|---|---|
| 第3条 | 生涯学習の理念 | 「あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会」 |
| 第5条 | 義務教育 | 義務を負うのは保護者(子ではない)。国公立の義務教育諸学校は授業料を徴収しない |
| 第9条 | 教員 | 「絶えず研究と修養に励み」/「使命と職責の重要性」 |
| 第10条 | 家庭教育 | 父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する |
| 第12条 | 社会教育 | 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない |
| 第13条 | 学校、家庭及び地域住民等の相互の連携協力 | 「それぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努める」 |
| 第17条 | 教育振興基本計画 | 政府が基本的な計画を定める。現行は第4期(令和5年6月16日閣議決定、令和5〜9年度) |
「第一義的責任」(第10条)は、児童福祉法や こども基本法にも出てくる頻出語です。教育基本法では保護者が主語であることを押さえてください。
学校教育法|幼稚園の目的(第22条)と目標(第23条)
学校教育法は昭和22年(1947年)法律第26号。第1条に学校の種類が列挙されており、幼稚園は第1条学校(いわゆる一条校)です。保育所は児童福祉法上の児童福祉施設で、学校ではありません。この対比は保育原理でも出ます。
第22条(幼稚園の目的)
幼稚園は、義務教育及びその後の教育の基礎を培うものとして、幼児を保育し、幼児の健やかな成長のために適当な環境を与えて、その心身の発達を助長することを目的とする。
学校教育法第22条/e-Gov法令検索
空欄の定番は「義務教育及びその後の教育の基礎」と「助長」です。「促進」「援助」「支援」ではなく「助長」。この一語だけで正誤が決まることがあります。
第23条(幼稚園の目標)5つ
| 号 | 領域との対応 | 内容の要点 | キーワード |
|---|---|---|---|
| 一 | 健康 | 健康、安全で幸福な生活のために必要な基本的な習慣を養い、身体諸機能の調和的発達を図ること | 基本的な習慣/調和的発達 |
| 二 | 人間関係 | 集団生活を通じて、喜んでこれに参加する態度を養うとともに家族や身近な人への信頼感を深め、自主、自律及び協同の精神並びに規範意識の芽生えを養うこと | 信頼感/自主、自律及び協同/規範意識の芽生え |
| 三 | 環境 | 身近な社会生活、生命及び自然に対する興味を養い、それらに対する正しい理解と態度及び思考力の芽生えを養うこと | 思考力の芽生え |
| 四 | 言葉 | 日常の会話や、絵本、童話等に親しむことを通じて、言葉の使い方を正しく導くとともに、相手の話を理解しようとする態度を養うこと | 絵本、童話等/相手の話を理解しようとする態度 |
| 五 | 表現 | 音楽、身体による表現、造形等に親しむことを通じて、豊かな感性と表現力の芽生えを養うこと | 豊かな感性と表現力の芽生え |
5つの目標は、幼稚園教育要領の5領域(健康・人間関係・環境・言葉・表現)と同じ順番で並んでいます。この対応に気づいていれば、順序を入れ替えた選択肢を一瞬で切れます。幼稚園教育要領のポイントもあわせて確認してください。
なお第24条は、幼稚園が保護者や地域住民等に対して幼児期の教育に関する相談・情報提供・助言を行うよう努めるという規定です。幼稚園の子育て支援の根拠として出ることがあります。
引っかけポイント
「保育する」のは幼稚園も同じ。第22条に「幼児を保育し」とある通り、幼稚園も条文上は「保育」を行います。「幼稚園は教育、保育所は保育」と単純に切り分けた選択肢は誤りになりえます。違いは根拠法(学校教育法/児童福祉法)と目的規定にあります。
目的(第22条)と目標(第23条)を混同しない。「目的」は1つ、「目標」は5つ。設問で「幼稚園の目標として正しいものを選べ」とあるのに第22条の文言を選ぶ、という取り違えが起きます。
条文穴埋めの、いちばん効率のいい潰し方
- 条文を写経しない。時間がかかるわりに残りません。空欄になる語だけを抜き出したリストをつくり、それを何度も見る。
- 音読する。条文は独特のリズムがあります。「人格の完成を目指し」「生涯にわたる人格形成の基礎を培う」「心身の発達を助長する」は、声に出したときの語感で覚えるほうが速い。
- 一次資料で確認する。市販テキストの引用は省略や表記のゆれがあります。最終確認は必ずe-Gov法令検索で。
- 法令基準日を意識する。保育士試験は原則として試験実施年の4月1日時点で施行されている法令等に基づいて出題されます。改正直後の内容が問われるかどうかは、この基準で判断してください。
ここが出る
これだけは丸暗記リスト(教育原理・法令編)
- 教育基本法第1条=人格の完成
- 教育基本法第4条=ひとしく、その能力に応じた教育を受ける機会/差別事由に経済的地位あり
- 教育基本法第10条=保護者は第一義的責任
- 教育基本法第11条=生涯にわたる人格形成の基礎
- 学校教育法第22条=義務教育及びその後の教育の基礎/心身の発達を助長
- 学校教育法第23条=目標は5つ、5領域と同じ順
よくある質問
教育基本法は何条までありますか?
現行の教育基本法(平成18年法律第120号)は前文と全18条です。昭和22年の旧法は前文と全11条でした。条文数が増えているのは、生涯学習の理念(第3条)、家庭教育(第10条)、幼児期の教育(第11条)、教育振興基本計画(第17条)などが新設されたためです。
条文は一字一句覚える必要がありますか?
全文を暗唱する必要はありません。出題は穴埋め形式が中心で、空欄になる語はほぼ決まっています。「人格の完成」「生涯にわたる人格形成の基礎」「義務教育及びその後の教育の基礎」「助長」「第一義的責任」といったキーワードを、どの条文のものか言えるようにするのが実戦的です。
幼稚園と保育所の根拠法の違いは何ですか?
幼稚園は学校教育法に基づく学校(第1条学校)で、目的は第22条に定められています。保育所は児童福祉法に基づく児童福祉施設で、目的は児童福祉法第39条に定められています。幼保連携型認定こども園は、就学前の子どもに関する教育、保育等の総合的な提供の推進に関する法律(認定こども園法)に基づく施設です。
