社会的養護は10問・50点満点。6割の30点=6問正解が必要で、しかも教育原理と両方同時にクリアしないと両方不合格になります。1問5点なので、4問までしか間違えられない。この「取りこぼしの許容量が小さい」という構造が、ニコイチが鬼門と言われる最大の理由です。
裏を返すと、10問の内訳はほぼ毎回同じ枠から出ます。どこに何点あるかを知っていれば、限られた勉強時間をどこに置くかが決まります。
10問の設計図と、手をつける順番
どこから出るか
年度によって配分は動きますが、社会的養護の10問はおおむね次の枠で構成されます。細かい内訳は回ごとに変わるので、「この6分野から出る」という枠組みだけを持ってください。
| 分野 | だいたいの比重 | 対策の重さ |
|---|---|---|
| 施設の種類・対象・根拠法 | 毎回出る | 最優先。表1枚で完結する |
| 里親・養子縁組 | 毎回出る | 最優先。要件と数字が決まっている |
| 理念・原理・運営指針 | 毎回出る | 優先。指針の文言がそのまま選択肢になる |
| 歴史・人物 | 1問前後 | 優先。覚えれば確実に取れる |
| 統計データ | 1問前後 | 中。桁と順位だけに絞る |
| 事例問題 | 1〜2問 | 中。知識より読み方の訓練 |
ここが出る
施設・里親・理念の3分野だけで、例年おおむね半分以上を占めます。この3つを固めれば、合格ラインの6問中4〜5問が視野に入る。残りを歴史・統計・事例で拾う——これが社会的養護の基本設計です。
つまり、統計を完璧にするより施設の表を完璧にする方が期待値が高い。順番を間違えないでください。
手をつける順番:この順で1〜2週間
- 施設の種類・対象年齢・根拠法——1枚の表を書けるまで。第一種6つ(乳・母・養・障・心・自)を口で言えるように
- 里親4種類と特別養子縁組——5年・2年・3年、研修不要は親族里親、特別養子縁組は原則15歳未満
- 理念・6つの原理・家庭養育優先原則——第3条の2の3段階と、6つの原理の名称
- 第三者評価・自立支援計画・被措置児童等虐待——3年に1回以上、通告義務、母子生活支援施設は対象外
- 法改正——2024年4月施行のかたまりと、司法審査だけ2025年6月
- 統計——委託率26.3%、虐待相談約22万件、心理的虐待6割、警察等5割。この4つだけ
1〜6を1周するのに、集中すれば1週間かかりません。そのうえで過去問を2〜3回分解いて、間違えた枠に戻る。これで十分に届きます。
事例問題の解き方:知識ではなく手順で解く
社会的養護の事例問題は、施設職員や里親、児童相談所の対応として「適切なもの」「不適切なもの」を選ばせる形が中心です。知識がなくても、次の手順で正答率が上がります。
- 「不適切なものを選べ」かどうかを最初に丸で囲む。設問の向きを取り違えるのが、この形式でいちばん多い失点です
- 選択肢の中で「こども本人の意見を聴かずに決めている」ものを探す。改正法でこどもの意見聴取が明確化された以上、本人の意思を飛ばす対応は原則として不適切
- 「一人で抱え込む」「他機関に伝えない」ものを探す。社会的養護は連携が原理。抱え込みは不適切
- 「家族との関係を断ち切る」ものを探す。原理の1つが「家族との連携・協働」。親を排除する方向の対応は不適切になりやすい
- 断定・命令・叱責の語尾を探す。「〜すべきだと強く指導した」「〜を禁止した」は不適切側の典型
引っかけポイント
ただし「安全が最優先される場面」では逆になります。こどもの生命・身体に危険がある場面では、本人の意向より保護が優先され、「ためらわずに一時保護を検討する」「速やかに通告する」が正しい対応になります。危険があるかないかで判断軸が切り替わる——ここだけは丸暗記が効きません。
統計問題の割り切り方
統計は1問前後。全部覚えても最大5点で、覚える量に対して割に合いません。しかも試験問題は実施のかなり前に作られるので、直近の数値がそのまま出るとも限らない。そこで、次の割り切りをおすすめします。
| やること | やらないこと |
|---|---|
| 桁を覚える(約22万件、約4万2千人、約2万1千人) | 端数まで覚える |
| 順位を覚える(心理的虐待が最多、警察等が最多) | 全種別の件数を覚える |
| 増減の方向を覚える(委託率は上昇、入所児童数は減少) | 年度ごとの推移を覚える |
| 「分母は何か」を言えるようにする(里親等委託率) | 都道府県別の数値を覚える |
統計問題は、選択肢のうち1つか2つが明らかに桁違いだったり、順位が逆だったりします。桁と順位だけで2択まで絞れれば、期待値は十分です。詳しくは覚えるべき統計データにまとめました。
落とし方には型がある:失点パターン5つ
答え合わせをすると、間違いはだいたい同じ5種類に分類できます。自分がどの型で落としているかを特定すると、対策が一気に具体的になります。
| 失点パターン | 典型例 | 対策 |
|---|---|---|
| かっこ書きを消される | 「乳児院の対象は乳児のみである」(実際は幼児を含む例外あり) | 条文を読むとき、かっこ書きに必ず線を引く |
| 似た名前を入れ替えられる | 児童心理治療施設と児童自立支援施設、意見聴取等措置と意見表明等支援事業 | ペアで並べた表を作り、対比で覚える |
| 数字を1つずらされる | 第三者評価が「5年に1回」、専門里親の登録が「5年」 | 数字だけを一覧にして音読する |
| 語尾をすり替えられる | 「努力義務」を「義務」に、「できる」を「しなければならない」に | 選択肢の最後の5文字を先に読む |
| 改正前の内容で書かれる | 特別養子縁組「6歳未満」、自立援助ホーム「22歳の年度末まで」、児童発達支援センター「福祉型と医療型」 | 改正された項目のリストを持っておく |
引っかけポイント
このうち「改正前の内容」型は、市販テキストや古いブログを信じているほど引っかかります。制度が動いた項目だけは、必ずこども家庭庁の一次情報で最新を確認してください。落ちた原因が努力不足ではなく情報の古さだった、というのは本当によくある話です。
教育原理との付き合い方
共通で使える知識を先に取る
ニコイチは2科目セットなので、両方で使える知識から手をつけると時間が2倍に効きます。
| 共通テーマ | 社会的養護での出方 | 教育原理での出方 |
|---|---|---|
| 児童の権利に関する条約 | こどもの最善の利益(第3条)、意見表明権(第12条) | こどもの権利、教育を受ける権利 |
| こども基本法・こども家庭庁 | 所管、こども大綱 | こども施策の基本理念 |
| オーエン、ペスタロッチ | 性格形成学院、孤児教育の実践 | 教育思想家としての位置づけ |
| 児童憲章・児童福祉法第1条 | 社会的養護の基本理念の根拠 | こども観の変遷 |
この4テーマは、覚えた分だけ両科目に効きます。教育原理側の整理は教育原理のまとめを参照してください。
学習配分は社会的養護6・教育原理4
両方6割が必要なので「均等に」と考えがちですが、実際の配分は均等にしない方が合理的です。
| 社会的養護 | 教育原理 | |
|---|---|---|
| 出題の性格 | 制度・法令中心。覚えれば取れる | 思想家・法令・答申と範囲が広く、読ませる問題も多い |
| 対策の効き方 | 短期間で伸びやすい | 伸びるのに時間がかかる |
| おすすめの配分 | 6 | 4 |
| 共通して使える資産 | 人物(オーエン、ペスタロッチ等)/こどもの権利条約/こども基本法など | 同左 |
ここが出る
社会的養護を先に固めて「ここは落とさない」状態を作るのが、ニコイチ攻略の定石です。教育原理は範囲が広く運の要素も残るため、社会的養護で安全マージンを作っておくと精神的にも楽になります。
ただし教育原理を捨てるのは絶対にだめ。片方が5問でも両方不合格です。「社会的養護8問・教育原理6問」を目標にするくらいの意識で臨んでください。
本番当日と、残り時間別のやること
本番の時間の使い方
- 教育原理と社会的養護は連続する別々の時間枠で実施されます(各30分・各10問。令和8年後期は教育原理10:00〜10:30、社会的養護11:00〜11:30)。1科目30分で10問なので時間そのものは余りますが、科目をまたいで時間を融通することはできません
- 迷った問題には印をつけて先に進む。10問しかないので、1問に固執すると全体が崩れます
- 見直しは「設問の向き」だけを見る。「適切なもの」「不適切なもの」「誤っているもの」の読み違いが最大の失点源
- 組合せ問題(A〜Dの正誤の組合せ)は、確実に判断できる1つで選択肢を削る。4つ全部を判定する必要はありません
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:1回目は教育原理ばかりやって社会的養護を後回しにし、社会的養護5点で両方落とした。2回目は社会的養護の施設の表を最初の3日で仕上げてから教育原理に入った。)
残り時間別・やることの決め方
| 残り時間 | やること |
|---|---|
| 1か月以上 | 施設→里親→理念→指針→法改正→統計の順に1周し、過去問3回分。間違えた枠だけ2周目 |
| 2週間 | 施設・里親・理念の3分野に絞って表を仕上げる。過去問2回分で穴を確認 |
| 1週間 | 施設の表と里親の数字(5年・2年・3年)、第三者評価3年に1回、統計4つ。それ以外は捨てる |
| 前日 | 第一種6つ、家庭養育優先原則の3段階、特別養子縁組15歳未満、委託率26.3%を声に出して確認 |
令和8年度の後期試験は筆記が10月24日・25日です。過去問は全国保育士養成協議会の過去の試験問題で公開されています。制度の一次情報はこども家庭庁「社会的養護」で確認してください。
よくある質問
社会的養護は何点取れば合格ですか?
10問・50点満点のうち30点、つまり6問正解が必要です。ただし教育原理も同時に30点以上でなければならず、片方でも下回ると両方不合格になります。これがニコイチと呼ばれる理由で、どちらか一方だけ科目合格することはできません。
教育原理と社会的養護、どちらから勉強すべきですか?
社会的養護からをおすすめします。制度・法令中心で覚えれば取れる分野が多く、短期間で点数が伸びやすいからです。施設の表と里親の要件を先に固めて安全マージンを作り、そのうえで範囲の広い教育原理に時間を回すのが効率的です。配分の目安は社会的養護6・教育原理4です。
過去問は何年分やればいいですか?
3回分を目安に、解いたあと必ず「どの枠から出たか」を分野別に仕分けしてください。量をこなすことより、自分がどの枠で落としているかを特定する方が効果があります。ただし統計と法改正は数値・施行日が更新されているため、古い過去問の解説をそのまま覚えないよう注意が必要です。
