【社会的養護】運営指針・自立支援計画・第三者評価

運営指針・第三者評価・自立支援計画・被措置児童等虐待。この4つは地味で、テキストでも数ページしか割かれていないのに、社会的養護では毎回のように出ます。しかも「3年に1回以上」「策定しなければならない」といった数字と語尾を入れ替えるだけで問題が作れるので、出題者にとって作りやすいテーマなのです。

逆に受験者から見れば、覚える量が少ないわりに配点が安定している=ニコイチ突破のためにいちばん先に手をつけるべき領域です。

社会的養護関係施設の運営指針とは

社会的養護の施設には、それぞれ運営指針が定められています。最低基準(児童福祉施設の設備及び運営に関する基準)が「これを下回ってはいけない」線を示すのに対し、運営指針は「めざすべき方向」を示すものです。

文書対象位置づけ
児童福祉施設の設備及び運営に関する基準各児童福祉施設厚生省令。守らなければならない最低基準
児童養護施設運営指針/乳児院運営指針/児童心理治療施設運営指針/児童自立支援施設運営指針/母子生活支援施設運営指針社会的養護関係施設5種別厚生労働省(現・こども家庭庁)の通知。めざすべき養育・支援の内容と運営の考え方
里親及びファミリーホーム養育指針里親・ファミリーホーム同上。家庭養護の担い手向け
各施設の運営ハンドブック同上運営指針をより具体的に解説した手引き。実務向け

ここが出る

「社会的養護関係施設」といえば5種別——児童養護施設・乳児院・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設。第三者評価の受審義務がかかるのは、この5つだけです。自立援助ホームやファミリーホームは「社会的養護関係施設」には含まれず、受審義務もありません。ただし指針そのものは、5種別の運営指針に加えて「里親及びファミリーホーム養育指針」「自立援助ホーム運営指針」があり、社会的養護の指針は全部で7つです。

運営指針の冒頭には、社会的養護の基本理念(こどもの最善の利益のために/社会全体でこどもを育む)と6つの原理が共通して書かれています。指針の中身を問う問題は、実質的に理念・原理の問題です。

第三者評価:3年に1回以上、これだけは絶対に落とさない

社会的養護関係施設は、こどもが施設を選べず、また利用者である子ども自身が声を上げにくい構造にあります。そのため、一般の福祉サービスでは任意である第三者評価が、この5種別だけは義務になっています。

項目内容
対象社会的養護関係施設5種別(児童養護施設・乳児院・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設)
第三者評価の受審3年に1回以上
自己評価第三者評価を受審しない年に実施(=実質的に毎年)
結果の公表義務。全国推進組織(全国社会福祉協議会)等が公表する
義務化された年度平成24(2012)年度から
根拠児童福祉施設の設備及び運営に関する基準(例:児童養護施設は第45条の3)

自らその行う法第四十一条に規定する業務の質の評価を行うとともに、定期的に外部の者による評価を受けて、それらの結果を公表し、常にその改善を図らなければならない。

児童福祉施設の設備及び運営に関する基準 第45条の3(児童養護施設の業務の質の評価等)

引っかけポイント

「5年に1回」「毎年受審」はどちらも誤り。第三者評価は3年に1回以上です。そして自己評価は受審しない年に行う=実質毎年。この2つの周期をセットで押さえます。

「努力義務」ではなく「義務」です。一般の福祉サービス(保育所など)の第三者評価は受審が努力義務にとどまるので、そこと混ぜた選択肢が作られます。「社会的養護関係施設だけは義務」と例外として覚えてください。

結果の公表まで義務である点も忘れずに。「受審すればよく、公表は任意」は誤りです。

なお、ここでいう社会的養護関係施設5種別の対象年齢や根拠条文は施設の種類と対象年齢・根拠法にまとめています。

自立支援計画:誰が、いつ、何をもとに作るか

最低基準は、社会的養護関係施設の長に自立支援計画の策定を義務づけています。施設種別ごとに条番号は違いますが、書かれている内容はほぼ共通です。

施設自立支援計画の根拠(設備運営基準)
乳児院第24条の2
母子生活支援施設第29条の2
児童養護施設第45条の2
児童心理治療施設・児童自立支援施設同様の規定が置かれている
  • 作成するのは施設の長(実際には基幹的職員等が中心となって作成する)
  • 対象は入所中の個々の児童ごと——施設全体で1つ作るのではない
  • こどもの意見または意向、こどもとその家庭の状況等を勘案して策定する
  • 策定して終わりではなく、定期的な見直しが前提
  • 里親・ファミリーホームについては、児童相談所が自立支援計画を作成する

ここが出る

自立支援計画は「個々の児童について」作ります。「施設ごとに1つ策定する」という選択肢は誤り。ここは保育所の全体的な計画とは考え方が違います。

2022年改正で、措置等の際にこどもの意見・意向を勘案することが明確化されました。計画策定の場面でも「こどもの意見」がキーワードになります。

被措置児童等虐待:通告義務と通告先

施設や里親のもとで起きる虐待に対応する仕組みが、児童福祉法に置かれた被措置児童等虐待の規定です。児童虐待防止法の「保護者による虐待」とは別の枠組みなので、混同しないでください。

項目内容
定義児童福祉法第33条の10
禁止規定第33条の11(施設職員等は被措置児童等虐待をしてはならない)
通告義務第33条の12。被措置児童等虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに通告しなければならない
虐待の4類型身体的虐待/性的虐待/ネグレクト/心理的虐待
「被措置児童等」の範囲里親・ファミリーホームに委託された児童、乳児院・児童養護施設・障害児入所施設・児童心理治療施設・児童自立支援施設の入所児童、指定発達支援医療機関の入院児童、一時保護が行われた児童
「施設職員等」の範囲里親およびその同居人、ファミリーホームの従事者、上記施設の長・職員その他の従業者、一時保護施設を設けている児童相談所長・職員 等
通告先都道府県が設置する福祉事務所/児童相談所/都道府県の行政機関/都道府県児童福祉審議会/市町村(児童委員を介した通告も可)

引っかけポイント

母子生活支援施設は「被措置児童等」の対象施設に入っていません。社会的養護関係施設5種別のうち、母子生活支援施設だけが外れる——ここが典型的な引っかけです。母子生活支援施設は「措置」ではなく申込みによる入所だから、と理由から理解しておくと迷いません。

通告義務があるのは「発見した者」=誰でもです。施設職員に限りません。「施設職員のみに通告義務がある」は誤り。

通告先に「都道府県児童福祉審議会」が入っているのが特徴的です。施設内の虐待は施設と児童相談所の関係が近すぎて機能しない場合があるため、第三者的な審議会が通告先に含まれています。選択肢に見慣れない機関名が並んだら、この理屈で判断してください。

実際の件数は令和5年度で、届出・通告の受理が541件、そのうち虐待の事実が認められたのは171件(うち児童養護施設が79件で46.2%、種別では身体的虐待が99件で57.9%)でした。数値の詳細は社会的養護の統計データにまとめています。

りわさんメモ

(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:第三者評価の「3年に1回以上」は、なぜか毎回5年と書いてしまった。『第三者の“三”=3年』と紐づけたら一度も間違えなくなった。)

まとめ:数字と語尾を固定する

論点答え間違えやすい形
第三者評価の周期3年に1回以上5年に1回/毎年/努力義務
自己評価の周期受審しない年に実施(実質毎年)3年に1回
結果の公表義務任意
自立支援計画施設の長が個々の児童について策定施設ごとに1つ/児童相談所が全部作る
被措置児童等虐待の通告義務第33条の12。発見した者は誰でも施設職員のみ
対象に入らない施設母子生活支援施設母子生活支援施設も含む

一次情報はこども家庭庁「社会的養護の第三者評価について」、運営指針・ハンドブックはこども家庭庁「社会的養護」から確認できます。

よくある質問

第三者評価は保育所にも義務がありますか?

保育所を含む一般の福祉サービスでは、第三者評価の受審は義務ではなく努力義務です。義務なのは社会的養護関係施設5種別(児童養護施設・乳児院・児童心理治療施設・児童自立支援施設・母子生活支援施設)だけで、3年に1回以上の受審と結果の公表が求められます。この「社会的養護だけ義務」という対比がそのまま出題されます。

被措置児童等虐待と児童虐待防止法の虐待は何が違いますか?

児童虐待防止法が対象とするのは保護者による虐待です。これに対して被措置児童等虐待は、里親や施設職員など措置先の養育者による虐待で、児童福祉法第33条の10以下に規定されています。虐待の4類型(身体的・性的・ネグレクト・心理的)は同じですが、根拠法も通告先も別なので分けて覚えてください。

運営指針とハンドブックはどちらを覚えればいいですか?

試験対策としては運営指針が先です。基本理念と6つの原理、養育・支援の基本的な考え方が指針に集約されており、そこから出題されます。運営ハンドブックは指針を実務的に解説したもので、分量も多いため、余力がある場合に事例問題の背景理解として目を通す位置づけで十分です。

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