法改正はニコイチ突破のうえで最もコストパフォーマンスが高い分野です。改正されたばかりの制度は問題として作りやすく、しかも古いテキストで勉強している受験者は必ず落とすからです。社会的養護でも子ども家庭福祉でも、ここ数年は令和4年改正児童福祉法が繰り返し出ています。
この記事では、令和4年(2022年)6月15日公布の児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)を、7つの柱と施行日カレンダーで整理します。
まず全体像:7つの柱
改正の趣旨は「こどもの権利を守り、虐待を防ぐために、市町村から国まで支援の切れ目をなくす」こと。内容は次の7つに整理されています。
| 柱 | 主な中身 |
|---|---|
| 1. 子育て世帯への包括的な支援体制の強化 | こども家庭センターの設置、子育て世帯訪問支援事業・親子関係形成支援事業等の創設、児童発達支援センターの一元化 |
| 2. 一時保護所および児童相談所による支援の質の向上 | 一時保護所の設備・運営基準の策定、親子再統合支援事業、里親支援センターの創設、妊産婦等生活援助事業 |
| 3. 社会的養育経験者・障害児入所施設の入所児童等に対する自立支援の強化 | 児童自立生活援助事業の年齢要件の弾力化、社会的養護自立支援拠点事業の創設 |
| 4. こどもの意見聴取等の仕組みの整備 | 措置等の際の意見聴取等措置、意見表明等支援事業 |
| 5. 一時保護開始時の判断に関する司法審査の導入 | 親権者等の同意がない場合、一時保護状を裁判官に請求する |
| 6. こども家庭福祉の実務者の専門性の向上 | 認定資格こども家庭ソーシャルワーカーの導入、児童福祉司の任用要件の見直し |
| 7. 児童をわいせつ行為から守る環境整備 | 保育士の欠格期間の延長、登録取消事由の明確化、わいせつ行為を行った者の情報のデータベース整備 |
施行日カレンダー:ここが差になる
同じ改正法でも、項目ごとに施行日が違います。「2024年4月に施行されたのはどれか」という形で問われるので、例外を押さえてください。
| 施行日 | 内容 |
|---|---|
| 公布日から3か月経過後(令和4年9月) | わいせつ行為関係の一部 |
| 令和5年4月1日 | わいせつ行為関係の一部(保育士の欠格期間の延長・登録取消事由の明確化等) |
| 令和6年(2024年)4月1日 | 本則。こども家庭センター、里親支援センター、児童発達支援センターの一元化、意見表明等支援事業、社会的養護自立支援拠点事業、親子再統合支援事業、妊産婦等生活援助事業、児童自立生活援助事業の年齢要件弾力化、こども家庭ソーシャルワーカー |
| 令和7年(2025年)6月1日 | 一時保護開始時の判断に関する司法審査(一時保護状) |
引っかけポイント
司法審査だけ施行が遅れています。公布から3年を超えない範囲で政令で定める日、とされ、政令により令和7年6月1日から施行されました。「2024年4月にすべて施行された」という選択肢は誤りです。ここは差がつきます。
こども家庭センター(児童福祉法第10条の2)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 児童福祉法第10条の2 |
| 設置主体 | 市町村 |
| 設置の性格 | 努力義務(「設置に努めなければならない」) |
| 何を統合したか | 子育て世代包括支援センター(母子保健)+市区町村子ども家庭総合支援拠点(児童福祉) |
| 業務 | 妊産婦・乳幼児・子育て家庭の実情の把握、相談対応と情報提供、サポートプランの作成、関係機関との連絡調整、地域の支援体制の整備 |
ここが出る
「義務」ではなく「努力義務」。ここが一番よく狙われます。
母子保健と児童福祉の2つの機能を一体化したのがポイント。妊娠期から切れ目なく支援するという発想で、個別の支援計画であるサポートプランを作成する点も覚えます。
2024年4月施行の新制度(社会的養護に直結する部分)
里親支援センター(第44条の3)
里親のリクルート、研修、マッチング、委託後の支援までを一貫して担う機関を児童福祉施設として法定化したものです。第二種社会福祉事業にあたります。里親制度全体の整理は里親制度・特別養子縁組の頻出ポイントを参照してください。
意見表明等支援事業(こどもアドボカシー)
施設入所や里親委託などの措置を行う際に、こども本人の意見を聴き、その意見を都道府県知事や児童相談所長に伝えるための事業です。都道府県は、こどもの意見・意向を把握するための意見聴取等措置をとることが義務づけられ、それを支える民間の仕組みとして意見表明等支援事業が位置づけられました。
引っかけポイント
「意見聴取等措置」(行政の義務)と「意見表明等支援事業」(支援の仕組み)は別物です。選択肢では名称が混ぜられます。前者は都道府県・児童相談所が行うこと、後者はこども本人の意見表明を支援する事業(アドボケイトの配置等)と整理してください。
社会的養護自立支援拠点事業と年齢要件の弾力化
措置解除後の相談・情報提供、当事者同士の交流の場の提供などを行う社会的養護自立支援拠点事業が創設されました。あわせて児童自立生活援助事業(自立援助ホーム)の年齢上限の一律の制限が撤廃され、都道府県知事が必要と認める時点まで支援を継続できるようになっています。
ここが出る
いわゆる「18歳の壁」「22歳の壁」の撤廃と呼ばれる改正です。「22歳の年度末まで」という記述で作られた選択肢は、現在は誤りになります。
児童発達支援センターの一元化
従来は福祉型と医療型に分かれていた児童発達支援センターが、2024年4月から1つの類型に一元化されました。障害の種別にかかわらず地域の身近な場所で支援を受けられるようにするためで、同時にセンターが地域の障害児支援の中核的役割を担うことが明確化されています。
引っかけポイント
「福祉型と医療型に区分されている」という記述は改正前の内容です。障害児入所施設は福祉型・医療型の区分が残っているので、一元化されたのは通所の児童発達支援センターだけという点に注意してください。
一時保護の司法審査(2025年6月1日施行)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| いつから | 令和7年(2025年)6月1日 |
| 何が必要になったか | 親権者等が一時保護に同意しない場合、児童相談所長等は裁判官に一時保護状を請求する |
| いつ請求するか | 一時保護の開始前、または開始から7日以内 |
| 趣旨 | 行政の判断だけで親子分離が行われることへの司法チェック。こどもと保護者双方の権利保障 |
ここが出る
「同意がない場合」に限られる点が重要です。親権者が同意している一時保護には司法審査は要りません。
一時保護そのものは、これまでどおり児童相談所長等の判断で開始できます。「裁判所の許可がなければ一時保護できなくなった」という選択肢は誤り。先に保護して、あとから(7日以内に)司法審査を受ける形も認められています。
所管はこども家庭庁(2023年4月発足)
2023年4月1日にこども家庭庁が発足し、児童福祉・保育・母子保健などの事務が厚生労働省や内閣府から移管されました。保育所保育指針も社会的養護の各種指針・通知も、現在はこども家庭庁が所管しています。
引っかけポイント
「厚生労働省が定める」という記述は、現在は誤りになる場面が増えています。ただし過去に策定された通知の発出者が厚生労働省であること自体は事実なので、「いま所管しているのはどこか」と「いつ誰が策定したか」を区別して読んでください。
幼稚園は文部科学省のままです。すべてがこども家庭庁に移ったわけではありません。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:法改正は後回しにしていたが、直前に施行日だけ表にしたら本番で2問拾えた。『2024年4月がほとんど、司法審査だけ2025年6月』と唱えるだけでよかった。)
まとめ:改正で覚えるのは名前・条文・施行日の3点
| 制度 | 根拠・位置づけ | 施行 |
|---|---|---|
| こども家庭センター | 児童福祉法第10条の2/市町村の努力義務 | 2024年4月1日 |
| 里親支援センター | 児童福祉法第44条の3/児童福祉施設・第二種 | 2024年4月1日 |
| 児童発達支援センターの一元化 | 福祉型・医療型の区分を廃止/地域の中核 | 2024年4月1日 |
| 意見表明等支援事業 | こどもの意見表明を支援する事業 | 2024年4月1日 |
| 社会的養護自立支援拠点事業/年齢要件の弾力化 | 措置解除後の支援/年齢上限の一律撤廃 | 2024年4月1日 |
| 一時保護の司法審査(一時保護状) | 同意がない場合に裁判官へ請求 | 2025年6月1日 |
一次情報はこども家庭庁「令和4年6月に成立した改正児童福祉法について」。最新の動向はこども家庭庁のトップから確認できます。施設側の整理は施設の種類と根拠法にまとめています。
よくある質問
法改正はどのくらい出題されますか?
社会的養護と子ども家庭福祉の両方で問われるため、合わせると無視できない比重になります。特に施行から1〜3年程度の改正は狙われやすく、令和4年改正児童福祉法はいまがその時期です。制度の名称・根拠条文・施行日の3点セットで覚えるのが最短です。
こども家庭センターの設置は義務ですか?
努力義務です。児童福祉法第10条の2で「市町村は、こども家庭センターの設置に努めなければならない」と定められています。従来の子育て世代包括支援センター(母子保健)と市区町村子ども家庭総合支援拠点(児童福祉)を一体化したもので、個別のサポートプランを作成する点が特徴です。
一時保護に必ず裁判所の許可が必要になったのですか?
いいえ。親権者等が同意している場合は司法審査は不要です。同意がない場合に限り、一時保護の開始前または開始から7日以内に、裁判官へ一時保護状を請求します。一時保護そのものを児童相談所長等の判断で開始できる点は変わっていません。
