造形に関する技術はお題が当日発表です。何が出るかわからない試験で本番の45分を守り切るには、お題を読んでから構図を考えるのをやめるしかありません。あらかじめ数種類の「型」を持っておき、当日はその中から1つ選んで当てはめる。この形にすると、構図に使う時間が10分から30秒になります。この記事では、頻出の場面ごとに使える構図の型と、どんなお題が来ても崩れない3つの基本型を整理します。
前提として、描画枠は縦横19cmです(令和8年の実技試験概要による。年度で変わる可能性があるため受験する回の受験申請の手引きで確認してください)。19cmはかなり小さい。この面積に人物を数人と背景を入れるので、構図の型は「人物をどこまで大きく置けるか」を基準に選ぶことになります。
どんなお題が来ても崩れない型を3つ持つ
型は多いほどいいわけではありません。本番で迷えば時間を失います。3つが扱いやすい数です。3つあれば室内も屋外もカバーでき、かつ30秒で選べます。
| 型 | 人物の置き方 | 向いている場面 | 長所と注意点 |
|---|---|---|---|
| A 横並び型 | 画面の中央やや下に、人物を横一列。手前に1〜2人を大きく、奥に残りを小さく | 散歩、行進、手をつなぐ、並んで座る、給食の配膳待ち | 破綻しにくい。ただし単調になりやすいので背丈と向きを変える |
| B 円型(囲み型) | 中央に活動の対象物を置き、それを囲むように人物を配置。手前の人物は後ろ姿 | 製作、絵本の読み聞かせ、砂場、ブロック、机を囲む活動 | 活動が最も伝わる。手前の後ろ姿が描ければ一気に完成度が上がる |
| C 手前奥型(斜め型) | 手前に主役を大きく1〜2人、斜め奥に残りと保育士。地面や床を斜めの線で示す | 園庭、プール、遊具、走る、追いかける、探す活動 | 奥行きが出て情景が伝わる。人物の大小差をはっきりつけないと効果が出ない |
ここが出る
3つの型に共通するルールは2つだけです。1つ目、主役の子どもの頭は枠の上から3分の1あたりに置き、身長は枠の高さの半分前後を使う。これで「人物が小さすぎる」を防げます。2つ目、保育士は必ず子どもより背を高く、かつ子どもに関わっている姿勢で描く。棒立ちの大人は保育士に見えません。
場面別・型の当てはめ方
造形の過去問題は協議会のサイトで問題文が公開されていません(公開されているのは実技試験概要までです)。ただし受験者の報告や対策教材が伝える範囲では、保育室・園庭・散歩・水遊び・食事・製作・季節行事といった日常の場面が繰り返し扱われています。ここでは、そうした場面が来たときにどの型を選ぶかを整理します。
| 場面 | 選ぶ型 | 場所を示す背景要素(2〜3点で十分) | 活動を示す小道具 |
|---|---|---|---|
| 保育室(室内遊び) | B 円型 | 床と壁の境界線、窓、おもちゃ棚 | ブロック、絵本、ままごと道具 |
| 園庭 | C 手前奥型 | 地面の線、すべり台か鉄棒、園舎か木 | ボール、砂場道具、三輪車 |
| 散歩 | A 横並び型 | 歩道と車道の境、街路樹、電柱か建物 | 帽子、リュック、つないだ手 |
| 水遊び・プール | C 手前奥型 | プールの縁の線、水面、日よけかフェンス | じょうろ、水鉄砲、浮き輪 |
| 食事・給食 | B 円型 | テーブル、いす、床と壁の境界線 | 食器、コップ、エプロン |
| 製作・絵を描く | B 円型 | 机、床、壁の掲示物 | クレヨン、画用紙、のり、はさみ |
| 季節行事 | A 横並び型 か B 円型 | 保育室+行事の飾り | 行事を象徴する物を1つだけ大きく |
背景要素を2〜3点に絞るのがコツです。園庭を描こうとして遊具を5つ描き込むと、時間が足りなくなるうえに画面がごちゃついて主役が埋もれます。場所は「ここは園庭だ」と伝わればそれでいい。地面の線と遊具1つと木1本、これで園庭は成立します。45分の時間配分の観点からも、背景は削れるところです。
人物の配置:大きさ・重なり・向き
大きさは3段階に分ける
全員を同じ大きさで並べると、絵が平面的になって情景が伝わりません。手前・中間・奥の3段階に分けます。手前の主役を基準に、中間はその8割、奥は6割程度。19cm四方なら、主役の子どもの身長を9〜10cm、奥の子どもを5〜6cmくらいに置くと収まりがいいです。
重なりを1か所は作る
人物どうしを少し重ねると、それだけで前後関係が生まれます。全員を離して配置すると、切り絵を並べたような絵になります。手前の子どもの肩に、奥の子どもの体が少しかかる。この1か所だけで印象が変わります。
視線と体の向きを活動の中心に集める
「何をしている場面か」を最も強く伝えるのは、実は道具ではなく全員の視線と体の向きです。絵本の読み聞かせなら、子ども全員の顔が絵本のほうを向いている。砂場なら全員の手と顔が砂に向いている。逆に、道具を正確に描いても全員が正面を向いていると、何をしているのかわからない絵になります。
視点の高さは「大人が少ししゃがんだ目線」
真上から見下ろす構図は、人物が小さくなり顔も描きにくいので避けます。真横からの構図は奥行きが出ません。おすすめは、床や地面の線を画面のやや下(下から3分の1あたり)に引く、やや低い目線です。この高さだと人物を大きく描けて、床も適度に見えるので背景の情報量が確保できます。
引っかけポイント
型を持っていても、条件に「◯◯している様子」と書かれた活動を型に合わせて変えてしまっては本末転倒です。型は人物の配置の骨組みであって、活動の内容ではありません。条件で指定された活動が型に収まりにくいときは、型を1つ捨てて別の型に切り替えるほうが早い。3つ持つのはそのためです。
画面の埋め方:白い部分を残さない設計
枠内全体を着色する趣旨の条件が付くのが通例です。構図の段階で「後で塗る面」を意識しておくと、着彩が楽になります。19cm四方を、おおまかに次の3ブロックに分けて考えてください。
| ブロック | 枠内での位置 | 埋め方 |
|---|---|---|
| 上部(約3割) | 壁・空・園舎 | 室内なら壁と窓、屋外なら空と木の緑。単色で早く塗れる面にしておく |
| 中央(約4割) | 人物と活動 | ここに情報を集中させる。人物の頭は上部との境あたりに来る |
| 下部(約3割) | 床・地面・机 | 広い単色面。最後にまとめて塗る。手前に道具を1つ置くと間が持つ |
下描きの段階で、この3ブロックの境界線(壁と床の境、空と地面の境)を最初に1本引いてしまうと、以降の配置が決まりやすくなります。逆に、人物から描き始めて境界線を後回しにすると、人物の足元が宙に浮いた絵になりがちです。境界線を先に引き、その上に人物を立たせる。この順番を固定してください。
型の練習方法
型は「描ける」まで落とし込まないと本番で使えません。おすすめは、1つの型で場面だけを変えて3枚描く練習です。たとえばB円型で、絵本の読み聞かせ・製作・給食の3枚。人物の配置はほぼ同じで、小道具と背景だけ差し替えます。これを3つの型でやると9枚。この9枚が本番の引き出しになります。
1枚ずつ45分かける必要はありません。構図の練習は下描きだけで構わないので、1枚10分。人物の描き方そのものが不安なら、先に人物の基本を固めてから型の練習に入るほうが効率的です。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が本番でどの型を使ったか、練習中にどの型が合わなかったかを1〜3文で書き足してください。例:円型が一番描きやすかったので、迷ったら円型と決めていた。本番のお題は屋外だったが、円型のまま地面と木を足して乗り切った。)
よくある質問
構図の型は3つで足りますか。
横並び・円型・手前奥の3つがあれば、室内・屋外・移動のどれにも当てはめられます。型を増やすより、3つを「迷わず描ける」状態にするほうが本番では効きます。選択に時間がかかるようなら、むしろ2つに減らしても構いません。
背景はどこまで描き込むべきですか。
場所が伝わる要素を2〜3点で止めるのが目安です。条件で指定されるのは通常「その場所の様子がわかるように描くこと」であって、細部の正確さではありません。要素を増やすほど時間を失い、主役の人物が埋もれます。
人物は何人まで描けばいいですか。
当日の条件で指定された人数が基準です。指定より多く描く分には問題ありませんが、19cm四方に多く詰めると1人あたりが小さくなり、45分で塗り切れなくなります。指定人数プラス1名程度に抑えるのが現実的です。
