【実技・言語】試験の全体像と採点の考え方|令和8年

実技試験の「言語に関する技術」は、道具を何ひとつ使わずに、3歳児クラスの子ども15人を前にしたつもりで3分間お話をする試験です。ピアノも絵も要らないので、実技の2分野を決めるときに「3分しゃべるだけなら」と選ぶ人がいちばん多い分野です。それでも落ちる人は落ちます。理由ははっきりしていて、条件の読み違えと、時間の詰めの甘さの2つに集約されます。

しかも令和7年から形式が変わりました。以前は事前公表された話の中から自分で1話を選べましたが、いまは3つの課題のうちどれを話すかが試験室に入ってから指定されます。古い情報のまま「1話だけ完璧に」と準備した人が当日いちばん困る形になっています。このページで条件と採点の考え方を先に固めてから、台本づくりに進んでください。

言語に関する技術は、どういう試験か

まず、公表されている条件を全部並べます。ここに書かれていないことは「自由」、書かれていることは「厳守」です。この線引きを最初にやっておくと、ネット上の体験談に振り回されずに済みます。

項目令和8年の条件
想定する場面3歳児クラスの子どもに「3分間のお話」をすることを想定
想定する人数子どもは15人程度が自分の前にいることを想定
時間3分間。時間は係がタイマーで計測。3分間は退出できない
課題3つのうち、いずれかを試験室入室後に指定される
使えるものなし。絵本・道具(台本・人形)等の一切の使用が禁止
姿勢立っても座ってもよい
会場の設定子どもに見立てた椅子等が前方に用意される
求められる力基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方
配点50点満点。実技は2分野を選択し、両方とも6割(30点)以上で合格

条件の出典は全国保育士養成協議会「令和8年【前期】実技試験概要」です。後期については全国保育士養成協議会「令和8年【後期】実技試験概要」に同じ内容が載っています。令和8年の実技試験日は、前期が6月28日(日)、後期が12月13日(日)です。

注目してほしいのは「絵本等を持つことを想定せず、お話をしてください」という一文です。これは単に絵本を持ち込めないという意味ではありません。絵本を持っているふりもしない、つまり左手で本を支えるような姿勢を作らず、両手を自由に使って話す、という指示として読むのが自然です。両手が空いているからこそ身振りが採点対象になります。

令和8年の課題は3つ。しかも選べない

令和8年の課題は次の3つです。前期・後期とも同じ内容が公表されています。

課題分類
ももたろう日本の昔話
おむすびころりん日本の昔話
3びきのこぶたイギリスの昔話

題名そのものより大事なのは、指定のされ方です。概要には「1〜3の課題のうち、いずれかを試験室入室後に指定します。指定された課題以外を行った場合は、採点の対象外となります。1〜3のどの課題を指定されても話せるように準備しておいてください」と書かれています。得意な1話で勝負する試験ではなくなった、ということです。

引っかけポイント

「事前公表された4話から好きな1話を選ぶ」は令和6年までの話です。書籍やブログの発行年が古いと、この前提のまま解説されています。台本の作り方や身振りの原則は今でも通用しますが、準備する本数だけは必ず最新の条件で数え直してください。

課題の題名と本数は年度で変わります。受験する回の受験申請の手引き、または全国保育士養成協議会の実技試験概要で、申込み前にもう一度確認してください。

3本を同時に仕上げるのは大変そうに見えますが、後述するとおり構成の型は共通化できます。3課題の構造の違いと、まとめて仕上げる手順は3つのお題の違いと当日指定への備え方に分けて書きました。

採点はどう考えられているのか

先に前提を共有しておきます。採点表の内訳は公表されていません。声の大きさが何点、身振りが何点、といった配点を書いているサイトがありますが、公式の根拠はありません。公表されているのは「保育士として必要な基本的な声の出し方、表現上の技術、幼児に対する話し方ができること」という一文と、注意事項だけです。

裏を返せば、この一文と注意事項に書かれた要素が、採点者が見ている場所のほぼすべてだと考えていいということです。書かれている言葉を、当日の自分の行動に翻訳すると次のようになります。

公表されている文言行動に翻訳すると自己チェックの質問
基本的な声の出し方声量、明瞭さ、語尾を落とさない部屋のいちばん後ろまで届く声か
表現上の技術抑揚、間、声色の使い分け、身振り、表情同じ調子で3分棒読みしていないか
幼児に対する話し方短い文、やさしい語彙、ゆっくりした速度3歳が知らない言葉が残っていないか
3分にまとめてください時間設計と情報の取捨選択話が途中で切れずに結びまで行くか
適切な身振り・手振りを加える動きの量と大きさ1つも動きがない、または動きっぱなしになっていないか
15人程度が自分の前にいる目線の配り方、声を届ける範囲1点だけを見て話していないか

ここが出る

この試験で減点の芯になるのは、技術の巧拙ではなく「3歳児に向けていない」ことです。大人に向けた朗読としては上手でも、語彙が難しい、速い、目線が上を向いている、という3点がそろうと点は伸びません。逆に、多少たどたどしくても、目の前の子どもに届けようとしている話し方は評価されやすい。「上手に読む」ではなく「3歳に届ける」に目標を置き換えてください。

落ちる人に共通する5つの型

不合格の理由は本人に通知されません。ただ、練習を見ていて危ないと分かるパターンははっきりしています。

何が起きているか対処の入口
時間が合わない2分で終わる、または3分で結びに届かない調整用の部品を作っておく
原作をなぞりすぎ描写を残した結果、話が終わらない残す情報を先に決める
暗記の再生になる思い出すことに集中して目線が上に外れる台本を捨てて要点だけで話す練習
声が小さい・語尾が消える緊張で息が浅くなり、文末が聞こえない語尾だけを強調する読み
1課題しか準備していない指定された話を話せず採点対象外3本を同じ型で作る

この5つのうち、上の2つは台本の問題、真ん中は練習方法の問題、下の2つは当日と準備量の問題です。原因の層が違うので、まとめて「練習量を増やす」では解決しません。層ごとに手を打ちます。

何から手をつけるか(このページの配下記事)

順番があります。表現の練習から入ると、台本が固まっていないので毎回違う話になり、時間も安定しません。台本、時間、表現、3課題、当日、の順で進めてください。

順番やること目安記事
13分に収まる台本を1本作る2〜3日3分の台本の作り方|文字数と構成の型
2ストップウォッチで3分に合わせ込む1週間3分ぴったりに収める練習法
3表情・身振り・目線を乗せる1〜2週間表情・身振り・目線の作り方
4残り2課題を同じ型で仕上げる2週間3つのお題の違いと当日指定への備え方
5当日の流れと緊張対策を確認直前当日の流れと、緊張への備え

いつから始めれば間に合うか

実技は筆記の全科目合格が前提なので、筆記の手応え次第で着手時期が変わります。ただ、言語は道具も場所も要らないため、筆記の直後から始めても負担が小さい分野です。筆記が終わった週に台本づくりだけ済ませておくと、後がかなり楽になります。

時期やること
筆記直後条件を確認し、3課題の骨組みを紙に書く
実技まで6〜8週1課題目の台本を完成させ、3分に合わせる
実技まで4週残り2課題を同じ型で作る
実技まで2週3課題をランダムに引いて通し練習。動画で自己チェック
実技まで1週毎日3本通す。声を出す時間帯を本番の時間に寄せる
前日通しは1〜2回まで。喉を使いすぎない

実技全体の選び方や、造形・音楽との組み合わせで迷っている段階なら、先に実技試験ハブで2分野の決め方を見てから戻ってきてください。

りわさんメモ

(ここに、りわさん自身が言語を受けたときの実感を1〜3文で書き足してください。例:待ち時間が長くて喉が渇いた、椅子を本当の子どもだと思って目線を落としたら急に話しやすくなった、など。)

よくある質問

言語は道具が使えないぶん、造形や音楽より簡単ですか?

準備の重さは軽いほうです。楽器も画材も要らず、通勤中でも頭の中で練習できます。ただし令和7年から3課題すべてを準備する必要が出たため、以前より作業量は増えました。簡単というより「特別な技能が要らない代わりに、詰めの丁寧さで差がつく分野」と考えてください。

3分より短く終わってしまったら不合格ですか?

短く終わったこと自体を不合格と定める記述は公表されていません。ただ「3分にまとめてください」という指示があり、3分間は退出できないと明記されている以上、大幅に余る構成は指示どおりでないと受け取られる余地があります。3分に対して残り5〜10秒で結びに入る設計にしておくのが安全です。

課題の題名は毎年同じですか?

同じではありません。令和6年までは4話から1話を選ぶ形式で、含まれる題名も現在と異なっていました。令和7年から3課題・当日指定に変わっています。受験する回の受験申請の手引きと、全国保育士養成協議会の実技試験概要で必ず確認してください。

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