社会的養護の統計問題は、まじめに全部覚えようとすると絶対に終わりません。そして数字は毎年更新されるので、覚えた瞬間から古くなります。だから最初に決めるべきは「どの数字を正確に覚え、どの数字は桁と傾向だけにするか」という線引きです。
この記事の数値はすべてこども家庭庁の公表資料に基づき、出典と基準時点をセットで示します。試験対策では、数字そのものより「いつ時点の、何を分母にした数字か」を言える方が強いからです。
まず線引き:正確に覚える数字は5つだけ
| 扱い | 対象 | 理由 |
|---|---|---|
| 正確に覚える | 里親等委託率/虐待相談対応件数の桁/虐待種別の順位と心理的虐待の割合/相談経路の第1位/第三者評価の3年に1回 | 選択肢で直接問われる、または比率の大小で正誤が決まる |
| 桁と傾向だけ | 施設数、入所児童数、里親登録数、被措置児童等虐待の件数 | 端数まで問われることはまずない。おおよその規模と増減方向が分かれば選択肢は切れる |
| 覚えない | 都道府県別の数値、年度ごとの細かい増減額 | 出題される可能性に対して負荷が高すぎる |
ここが出る
統計問題は「数字を選ぶ問題」より「傾向を述べた文の正誤を判定する問題」の方が多いです。「増加傾向にある」「最も多いのは〜である」といった文が正しいかを問う形。だから、順位と方向さえ握れば、正確な数値を知らなくても解けます。
社会的養護のもとで暮らすこどもは約4万2千人
こども家庭庁「社会的養育の推進に向けて(令和8年3月)」によれば、里親・ファミリーホームに委託されているこどもと、乳児院・児童養護施設等に入所しているこどもは合わせて約4万2千人です。まずこの全体像を頭に置きます。
| 区分 | か所数 | 現員(児童数) |
|---|---|---|
| 里親(委託里親5,411世帯) | 登録里親18,038世帯 | 6,637人 |
| ファミリーホーム | 505か所 | 1,862人 |
| 乳児院 | 147か所 | 2,289人 |
| 児童養護施設 | 607か所 | 21,472人 |
| 児童心理治療施設 | 53か所 | 1,299人 |
| 児童自立支援施設 | 58か所 | 1,130人 |
| 母子生活支援施設 | 202か所 | 3,266世帯 |
| 自立援助ホーム | 369か所 | 1,465人 |
| 児童家庭支援センター | 189か所 | — |
| 里親支援センター | 55か所(令和7年4月1日現在) | — |
- 桁で覚える:児童養護施設は600か所台・2万人強、乳児院は150か所弱・2千人強
- 順位で覚える:施設数は 児童養護施設 > 母子生活支援施設 > 乳児院 > 児童自立支援施設 > 児童心理治療施設
- 方向で覚える:児童養護施設の入所児童数は減少傾向、里親等委託児童数は増加傾向
里親等委託率:26.3%(令和6年度末)
この科目でいちばん正確に覚えるべき数字です。分母は里親・ファミリーホーム委託児童+乳児院・児童養護施設の入所児童、分子は里親・ファミリーホーム委託児童です。
| 時点 | 里親等委託率 |
|---|---|
| 令和3年度末 | 23.5% |
| 令和5年度末(令和6年3月末) | 25.1% |
| 令和6年度末(令和7年3月末) | 26.3% |
令和3年度末の内訳は、3歳未満25.3%、3歳以上・就学前30.9%、学童期以降21.7%、全体23.5%。年齢が低いほど委託率が高いという構造を押さえておくと、「新しい社会的養育ビジョン」の年齢別目標(3歳未満75%、学童期以降50%)とのつながりで理解できます。
引っかけポイント
「里親等」の『等』はファミリーホームを指します。里親だけの委託率ではありません。
分母に児童心理治療施設や児童自立支援施設は入りません。分母は里親・ファミリーホーム・乳児院・児童養護施設の4つだけ。ここを「社会的養護の全児童」と勘違いすると計算問題を落とします。
「新しい社会的養育ビジョン」の目標(3歳未満は5年以内に75%)と実績(全体で26.3%)には大きな開きがあります。「目標を達成した」という趣旨の選択肢は誤りです。
児童虐待相談対応件数:令和6年度は223,691件(速報値)
児童相談所が対応した児童虐待相談の件数です。令和6年度は223,691件で、前年度から1,818件(0.8%)の減少となりました。統計を取り始めてから増え続けてきた数字が減少に転じた点が、今後の出題ポイントになります。
| 虐待の種別 | 件数 | 構成割合 |
|---|---|---|
| 心理的虐待 | 133,024件 | 59.5% |
| 身体的虐待 | 52,535件 | 23.5% |
| ネグレクト | 35,612件 | 15.9% |
| 性的虐待 | 2,520件 | 1.1% |
| 主な相談経路 | 件数 | 構成割合 |
|---|---|---|
| 警察等 | 115,644件 | 51.7% |
| 近隣・知人 | 19,841件 | 8.9% |
| 家族・親戚 | 18,792件 | 8.4% |
| 学校 | 17,924件 | 8.0% |
ここが出る
覚えるのは「約22万件」「心理的虐待が約6割で最多」「経路は警察等が約5割で最多」の3点。この3つだけで、統計の正誤判定問題はほぼ処理できます。
心理的虐待が最多である理由は、面前DV(こどもの前での配偶者間暴力)を心理的虐待として警察が通告する運用が定着したためです。「心理的虐待が最多」と「経路は警察等が最多」は同じ現象の裏表なので、セットで覚えると忘れません。
引っかけポイント
身体的虐待が最多、という選択肢は誤りです。かつては身体的虐待が最も多い時期もありましたが、現在は心理的虐待が約6割を占めています。古いイメージのまま解かないでください。
性的虐待は約1%と件数上は最少です。ただしこれは「実際に少ない」ではなく「相談・通告として表に出にくい」ことの反映です。事例問題ではこの点が問われることがあります。
調査データ:被虐待経験・在所期間・施設内虐待
児童養護施設入所児童等調査(令和5年2月1日現在)
5年に1度実施される全国調査です。直近は令和5年2月1日現在のもの。施設種別ごとの数字の大小関係で覚えます。
| 被虐待経験あり | 心身の状況「該当あり」 | 平均在所(委託)期間 | 平均年齢 | |
|---|---|---|---|---|
| 児童養護施設 | 71.7% | 42.8% | 5.2年 | 11.8歳 |
| 乳児院 | 50.5% | 27.0% | 1.4年 | 1.6歳 |
| 里親 | 46.0% | 29.6% | 4.5年 | 9.9歳 |
| ファミリーホーム | 56.8% | 51.2% | 4.3年 | 11.8歳 |
- 児童養護施設の被虐待経験ありは71.7%で7割超。前回調査(平成30年2月1日現在)の65.6%から上昇。ただし全類型で最も高いのは児童心理治療施設83.5%で、次いで自立援助ホーム77.7%、児童自立支援施設73.0%
- 障害等のあるこどもの割合はどの類型でも上昇している
- 乳児院の平均在所期間は1.4年と短い——乳児院は「通過施設」としての性格が強い
被措置児童等虐待(令和5年度)
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| 届出・通告の受理 | 541件 |
| 虐待の事実が認められた件数 | 171件 |
| うち児童養護施設 | 79件(46.2%) |
| 種別の第1位 | 身体的虐待 99件(57.9%) |
引っかけポイント
児童相談所が対応する児童虐待(心理的虐待が最多)と、被措置児童等虐待(身体的虐待が最多)では、最も多い種別が違います。ここを取り違える受験者が非常に多い。「保護者による虐待=心理的、施設内虐待=身体的」と対比で覚えてください。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:統計は全部覚えようとして挫折した。『22万件・心理的6割・警察5割・委託率26%』の4つだけノートの表紙に書いて、それ以外は捨てたら本番で足りた。)
最終確認:この5つだけは口に出して言えるように
- 里親等委託率は26.3%(令和6年度末)。分母は里親・FH・乳児院・児童養護施設
- 児童虐待相談対応件数は約22万件(令和6年度速報値、前年度比わずかに減少)
- 虐待種別の最多は心理的虐待(約6割)
- 相談経路の最多は警察等(約5割)
- 社会的養護のもとで暮らすこどもは約4万2千人、うち児童養護施設が約2万1千人
数値は毎年更新されます。受験する回の直前には必ずこども家庭庁「社会的養護」の資料集「社会的養育の推進に向けて」と、こども家庭庁「児童虐待防止対策」の最新の公表値を確認してください。施設や制度そのものの整理は施設の種類と根拠法、出題の重み付けは10問の出題傾向と得点戦略にまとめています。
よくある質問
統計は何年度のものが出題されますか?
試験問題は実施のかなり前に作られるため、出題時点で最新とは限らず、1〜2年前の公表値が使われることがあります。だからこそ、端数まで暗記するのではなく「おおよその桁」「順位」「増減の方向」で押さえるのが安全です。年度がずれても、桁と傾向は基本的に変わりません。
里親等委託率はどう計算しますか?
分子が里親およびファミリーホームへの委託児童数、分母がそれに乳児院と児童養護施設の入所児童数を加えた数です。令和7年3月末の数値で計算すると、(6,637+1,862)÷(6,637+1,862+2,289+21,472)=約26.3%となります。分母に児童心理治療施設や児童自立支援施設は含みません。
児童虐待相談対応件数が減少に転じたのはなぜですか?
令和6年度の速報値は前年度から0.8%の減少でした。減少幅がごくわずかであることから、試験対策としては「約22万件で高止まりしている」と理解しておくのが実用的です。選択肢では「一貫して増加し続けている」という断定が使われることがあるので、直近で減少に転じた事実があることは知っておいてください。
