【令和5年後期】社会福祉 過去問解説|問1〜問6

過去問解説

令和5年(2023年)後期の保育士試験「社会福祉」の問題を、1問ずつ解説します。正解を示すだけでなく、どこで引っかかるように作られているかまで踏み込んでいます。

社会福祉は20問・100点満点で、60点以上が合格ラインです。制度と法律の名前が似ているものが多く、「入所か通所か」「根拠法はどれか」で迷わせてくる科目です。過去問は正解を覚えるためではなく、間違え方の型を知るために解いてください。

問題文の全文は、一般社団法人 全国保育士養成協議会「過去の試験問題」で公開されています。手元に置いて読み進めると理解しやすくなります。

問1

現時点では正答発表前ですので、個人の解釈として参考にしていただけます幸いです。

問題|社会福祉の基本的な考え方

次のうち、日本の社会福祉の基本的な考え方に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。


A 社会福祉における自立支援は、障害者福祉の分野ばかりでなく、高齢者福祉、子ども家庭福祉の分野にも共通の理念と考えられている。
B 私たち人間の幸福追求について、国が福祉政策によって関与することはない。
C 「日本国憲法」では、生存権を保障するため、最低限度の生活に関する基準を示している。
D 社会福祉における相談援助は、福祉サービスを必要とする人と社会資源を結びつける役割を果たす。

(組み合わせ)
  ABCD
1 ○○×○
2 ○×○×
3 ○× ×○
4 ×○○×
5 × ×○○

解答・解説

正解 3

A…○ B…× C…× D…○

A 〇 

一般的に「自立支援」というと障害者福祉におけるものをイメージする方もいるかもしれません。ですが、「高齢者福祉」「子ども家庭福祉」の分野においても自立支援が必要な場面があります。

「高齢者福祉」病気・ケガ・加齢などで介護が必要になった高齢者が、自身での自立した生活を希望する場合に、その意志を尊重し希望する生活ができるように支援する。

「子ども家庭福祉」児童自立支援施設に代表されるように、犯罪を犯した者や犯す恐れのある者や生活指導が必要な児童に対して、入所・通所の2つの手法で自立を促すための生活指導などをおこなうこと。

B × 

日本国憲法第13条に「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」について書かれています。よって、人間の幸福追求に関して国家が関与しないということはありません。

選択肢に「~~することはない」という断言がある場合は、×である可能性が高い!

C × 

日本国憲法第25条に生存権が示されていますが、「最低限度」に具体的な基準があるわけではありません。

 〇 

相談援助とは悩みや問題を抱えている人に対して、解決のための助言や活用できるサービスなどを提示することです。

問2

現時点では正答発表前ですので、個人の解釈として参考にしていただけます幸いです。

問題|社会福祉の歴史

次のうち、社会福祉の歴史的な事柄に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×
とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。


A ベヴァリッジ報告では、貧困を生みだす5つの要因に対して、新たな社会保障システムを打ち出した。
B 「新救貧法」(1834(天保5)年)では、窮民の援助は、最下層の労働者の生活以下にとどめ、働ける者には強制労働を課した。
C 「恤救規則」(1874(明治7)年)では、血縁や地縁などの無い窮民に対してのみ公的救済を行ったが、救済の責任は、本来血縁や地縁などの人民相互の情誼によって行うべきであるとした。
D 「救護法」(1929(昭和4)年)では、保護の対象を 13 歳以下の幼者のみと規定した。

(組み合わせ)
  ABCD
1 ○○○×
2 ○×○×
3 ○× ×○
4 ×○○×
5 × ×○○

解答・解説

正解 1

A…○ B…○ C…○ D…×

A 〇 

ベヴァリッジ報告とはウィリアム・ベヴァリッジが示したイギリスでの社会保障制度を拡充するための報告のこと。ここでは貧困に関する五つの原因 (巨人) として貧困・疾病・ 不潔・ 無知・ 怠惰の5つがあげられており、その対策として社会保障を整備していきました。

イギリスにおける戦後の社会保障制度の土台となったものです。

B 〇

新救貧法の特徴は3つあり、①救済基準の国内統一、②労役場への収容と強制労働、③救済は労働者のうち最下層の賃金水準よりも低いものとする「劣等処遇の原則」があります。これらの内容を踏まえると、〇となります。

イギリスは社会福祉の発祥といわれ、エリザベス救貧法にはじまりさまざまな福祉政策がとられています。

イギリスにはじまりアメリカへ渡った、社会福祉の流れは要チェックです!

C 〇 

日本初の貧困者救済法である「恤救規則」。

国としては公的扶助の責任はなく、家族や血縁者に相互扶助を求めていました。

この制度で救済されるのは「無告の窮民」と呼ばれた家族や血縁者のない70歳以上・13歳未満や障害者・困窮者とされていました。つまり、救済されるのはごく少数の人のみだったということです。

 ×

「救護法」の保護の対象については「 13 歳以下の幼者のみ」ではなく、これに加えて、65歳以上の貧困で生活できないもの・妊産婦・障害者としていました。

「のみ」など、限定する文言を含む文章は誤りのことが多いです!

問3

現時点では正答発表前ですので、個人の解釈として参考にしていただけます幸いです。

問題|子育て支援

次のうち、子育て支援に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。


A 「保育所保育指針」には、保護者に対する子育て支援について示されている。
B 保護者に対する支援を行う際の留意点の一つとして、子どもの利益に反しない限りにおいて、保護者や子どものプライバシーの保護、知り得た事柄の秘密保持に留意することが挙げられる。
C 保育所において、日常の保育に関連した様々な機会を活用し子どもの日々の様子の伝達や収集、保育所保育の意図の説明などを通じて、保護者との相互理解を図るように努めることとされている。
D 地域子ども・子育て支援事業の実施は、子ども及びその保護者の身近な場所において行うとされている。


(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ○
2 ○ ○ ×  ×
3 ○ ×  × ○
4 × ○ ○ ○
5 × ○ × ○

解答・解説

正解 1

A…○ B…○ C…○ D…〇

A 〇 

「保育所保育指針」第4章「子育て支援」に記載があります。その中で保育所を利用している保護者・地域の保護者それぞれに対する支援について示されています。

B 〇

「保育所保育指針」第4章「子育て支援」1ー(2)「子育て支援に関して留意すべき事項」に記載があります。虐待が疑われる場合などを除いて、保護者・子どものプライバシーや情報の保護には留意が必要です。

C 〇 

「保育所保育指針」第4章「子育て支援」2ー(1)「保護者との相互理解」にその旨記載があります。

 〇

「地域子ども・子育て支援事業」は地域の実情に応じ、以下の事業をおこなうものです。

・利用者支援事業・延長保育事業・放課後児童健全育成事業・子育て短期支援事業
・乳児家庭全戸訪問事業・養育支援訪問事業・ファミリーサポートセンター事業 ほか

問題文の「身近な場所において」という、記述が非常にあいまいですが、どの事業も利用者にとって利便性が高く身近な場所で行われることが想定されますし、A~Cはすべて〇であることから選択肢を選ぶことができるため、こちらも〇と判断することができます。

問4

問題|保護者支援・子育て支援

次のうち、保護者支援・子育て支援に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。


A 子育ての相談にあたっては、保護者の話を頭から否定せずに、気持ちを受け止める姿勢を常に持つべきである。
B 不適切な養育等が疑われる家庭への支援では、保護者の子ども観や、子育て意識・方法などへの介入が必要となることがある。
C 家庭支援・子育て支援においては、親子と地域社会との関係を構築するという視点は、現状の地域社会における人間関係の希薄化現象を考えると、不要である。
D 子育て環境の整備に関しては、出産を含む医療保障制度、各種手当、育児休業、保育所や幼稚園、認定こども園の整備など、家庭支援・子育て支援に関する制度環境の改善も重要である。


(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ ○ ×
2 ○ ○ × ○
3 ○ × × ○
4 × ○ ○ ○
5 × × × ○

解答・解説

正解 2

A…○ B…○ C…× D…〇

A 〇 

相談・援助については「バイスティックの7つの原則」にもあるように相談者のあるがままを受け入れる「受容」の姿勢は重要です。また、相談者の話を傾聴することも必要なことです。

「バイスティックの7つの原則」

①個別化 ②意図的な感情表出 ③統制された情緒的関与 ④受容

⑤非審判的態度 ⑥自己決定 ⑦秘密保持

B 〇

「保育所保育指針解説」第4章 子育て支援 2-(3)不適切な養育等が疑われる家庭への支援

保護者の中には適切な関わり方や育て方が分からなかったり、身近に相談や助言を求める相手がおらず、子育てに悩みや不安を抱いたり、子どもに身体的・精神的苦痛を与えるような関わりをしたりしてしまう者もいる。そういった場合には保育士等が有する専門性を生かし、保護者の子ども観や、子育て意識・方法などへ介入しながら支援することも必要となります。s

C ×

「親子と地域社会との関係を構築するという視点」は子育てをしていく中で、親子の孤立化を防ぐ意味でも大切です。

「不要である」という断言された文言は×である場合が多いです。

 〇

設問のとおり。少子化対策の意味でも子育て環境は多方面で整備が必要とされています。

問5

問題|生活保護制度

次のうち、生活保護制度に関する記述として、適切なものを○、不適切なものを×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。

A 「生活保護法」では、保護の原則として、申請保護の原則、基準及び程度の原則、必要即応の原則、世帯単位の原則の4つを掲げている。
B 「生活保護法」第 11 条で定めている保護の種類は、生活扶助、教育扶助、住宅扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8つがある。
C 「生活保護法」による保護施設は、救護施設、更生施設、医療保護施設の3つである。
D 令和4年版の「厚生労働白書」によると、生活保護制度の被保護者数は、1995(平成7)年を底に増加し、2015(平成 27)年3月に過去最高を記録し、以降減少に転じたと示されている。

(組み合わせ)
  A B C D
1 ○ ○ × ○
2 ○ × ○ ○
3 ○ × ○ ×
4 × ○ × ×
5 × × × ○

解答・解説

正解 1

A…○ B…○ C…× D…〇

A 〇 

設問の通り。

日本国憲法第25条の「生存権」の理念に基づき制定された「生活保護法」では保護をおこなう際の4つの原則が定められています。

①申請保護の原則 ②基準及び程度の原則 ③必要即応の原則 ④世帯単位の原則

B 〇

設問の通り。

「生活保護法」第11条には以下8つの保護の種類が規定されています。

①生活扶助

②教育扶助

③住宅扶助

④医療扶助(基本的に現物給付)

⑤介護扶助(基本的に現物給付)

⑥出産扶助

⑦生業扶助

⑧葬祭扶助

C ×

生活保護法における保護施設は全部で5つあります。

①救護施設(入所させて、生活扶助をおこなう)

②更生施設(入所させて、生活扶助をおこなう)

③医療保護施設(医療の給付をおこなう)

④授産施設(就労や技能の習得のために必要な機会を与え、自立を支援する)

⑤宿所提供施設(住宅扶助をおこなう)

 〇

設問の通り。厚生労働省の「厚生労働白書」はチェックが必要です。

問6

問題|社会福祉事業

次のうち、「社会福祉法」における施設の種別と事業の組み合わせとして、不適切なものを一つ選びなさい。


  <施設>              <事業>  
1 児童自立支援施設 ――――――― 第一種社会福祉事業
2 特別養護老人ホーム ―――――― 第一種社会福祉事業
3 授産施設 ――――――――――― 第二種社会福祉事業
4 視聴覚障害者情報提供施設 ――― 第二種社会福祉事業
5 地域活動支援センター ――――― 第二種社会福祉事業

解答・解説

正解 3 授産施設 ――――――――――― 第二種社会福祉事業

1 〇 児童自立支援施設 ――――――― 第一種社会福祉事業 

児童自立支援施設は児童福祉法第44条に規定されている施設で、通所もしくは入所して自立を目指す施設で、第一種社会福祉事業に該当します。

児童福祉法に規定されている施設で第一種社会福祉事業にあたるのは、児童養護施設・乳児院・母子生活支援施設・障害児入所施設・児童心理治療施設があります。

2 〇 特別養護老人ホーム ―――――― 第一種社会福祉事業

老人福祉法に規定される養護老人ホーム・特別養護老人ホーム・経費老人ホームは第一種社会福祉事業に該当します。

3 × 授産施設 ――――――――――― 第二種社会福祉事業

生活保護法に規定された救護施設・更生施設は第一種社会福祉事業となるため、こちらは誤りとなります。

授産施設とは身体上・精神上の理由、またはそのほかの理由により就業能力の限られている要保護者に対して、就労や技能習得のために必要な機会を与え自立を支援する通所施設をいいます。「通所」であるため、間違いやすいので注意が必要です。

4 〇 視聴覚障害者情報提供施設 ――― 第二種社会福祉事業

視聴覚障害者情報提供施設とは視覚障害者に対して点字図書や音声図書の貸出をおこなったり、聴覚障害者に対して手話または字幕入りビデオテープの貸出や手話通訳者の派遣や養成などをおこなう施設です。

5 〇 地域活動支援センター ――――― 第二種社会福祉事業

障害者総合支援法(障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律)に規定されている障害者福祉事業、地域活動支援センターは第二種社会福祉事業となります。

地域活動支援センターは、障害のある者に創作活動や生産活動の機会を提供したり、社会との交流を促進したりする通所施設です。

ポイント解説|第一種・第二種社会福祉事業

第一種社会福祉事業
利用者への影響の大きさを鑑み、利用者保護の必要性が高い事業(主に入所施設サービス)がこれにあたります。

経営主体行政および社会福祉法人都道府県知事等への届け出が必要です。行政・社会福法人以外の者が経営する場合は都道府県知事等への許可申請が必要となります。保護施設並びに養護老人ホーム及び特別養護老人ホームは、行政および社会福祉法人に限定されています。

共同募金、授産施設を経営する事業および生計困難者に対して無利子または低利で賃金を融通する事業もこちらに含みます。

第二種社会福祉事業
比較的利用者への影響が小さいため、 公的規制の必要性が低い事業(主として在宅サービス)がこれにあたります。

経営主体に制限はありません。すべての主体が届出をすることにより事業経営が可能となります。

保育所・幼保連携型認定こども園、母子・父子福祉施設、手話通訳事業や介助犬訓練事業などはこちらに含みます。

この回から学べること

社会福祉で失点しやすいのは、①第一種と第二種社会福祉事業の区別 ②施設の根拠法 ③制度の実施主体、の3点です。この3つは社会的養護の施設一覧と表が共通しているので、社会的養護とまとめて覚えるのが効率的です。

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