【実技・音楽】試験の全体像と採点の考え方|令和8年

保育士試験の実技「音楽に関する技術」は、課題曲2曲をピアノまたはギターで弾き歌いする試験です。ピアノの経験があるかどうかで最初から差がついているように見えますが、実際に落ちる人の多くは技術ではなく条件の読み違い止まってしまうことでつまずいています。この記事では、音楽に関する技術の全体像と、採点がどこを見ているのかという考え方を整理します。

課題曲・使用楽器・演奏条件は年度ごとに変わります。以下は全国保育士養成協議会が公表している令和8年(前期)の実技試験概要にもとづく内容です。受験する回の「受験申請の手引き」と実技試験概要を必ず自分の目で確認してください。なお当サイトでは著作権の関係上、課題曲の楽譜や歌詞そのものは掲載しません。

音楽に関する技術の基本情報

項目内容
試験の内容幼児に歌って聴かせることを想定して、課題曲2曲を弾き歌いする
求められる力保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること
使用楽器ピアノまたはギター(令和8年前期の概要による)
楽譜紙の楽譜の持ち込み可。市販楽譜でも自分で編曲したものでもよい
伴奏の条件添付楽譜のコード進行を尊重して演奏する
移調してもよい
前奏・後奏添付楽譜に示された部分を弾き歌いする。前奏・後奏の追加は任意
配点50点満点。30点以上で合格(選択した2分野とも30点以上が必要)
令和8年の試験日前期6月28日(日)/後期12月13日(日)
出典:全国保育士養成協議会「実技試験概要」(令和8年前期)

ここで見落とされがちなのが「添付楽譜」という言葉です。実技試験概要には課題曲の楽譜が添えられており、伴奏はそのコード進行を尊重して弾くことが条件になっています。市販の簡易伴奏譜を使うのも、自分で書き直すのも自由ですが、和音そのものを別の進行に差し替えてしまうと条件から外れます。この点は伴奏をどこまで簡単にしていいかで詳しく扱います。

楽器の選択:ピアノかギターか

令和8年前期の実技試験概要では、演奏楽器はピアノまたはギターと案内されています。ピアノは会場に設置されたものを使い、持参するものはありません。ギターは本体を自分で持参し、譜面台も必要なら持ち込みます。

ピアノギター
持参物不要(会場設置)本体、譜面台(任意)
楽器の個体差会場のピアノに合わせる必要がある使い慣れた自分の楽器で弾ける
向いている人両手の分担に慣れている人、独学でも譜読みができる人コードで伴奏する感覚がある人、弾き語りの経験がある人
注意点鍵盤の重さ・音の返り方が普段と違うチューニングと運搬。移調にはカポの使い方の理解が要る

過去にはアコーディオンを選べた年度もありましたが、令和8年前期の実技試験概要にはアコーディオンの記載がありません。楽器の選択肢自体が変わりうるということなので、ここは伝聞ではなく必ず公式の概要で確認してください。

令和8年の課題曲と、過去の課題曲

令和8年の課題曲は「うれしいひなまつり」と「山の音楽家」の2曲です。前期・後期ともに同じ課題曲で、当日は2曲とも演奏します。「どちらか得意なほうだけ」という選び方はできません。

年度課題曲
令和8年うれしいひなまつり/山の音楽家
令和7年ハッピー・バースデー・トゥ・ユー/証城寺の狸囃子
令和6年夕焼け小焼け/いるかはザンブラコ
令和5年幸せなら手をたたこう/やぎさんゆうびん
令和4年小鳥のうた/びわ
過去の課題曲。年度ごとに2曲が指定される

並べてみると傾向が見えます。ゆったりした曲と、リズムが動く曲の組み合わせになることが多い。令和8年も、しっとり歌う曲とテンポよく進む曲の2本立てです。練習量を均等に割るのではなく、自分にとって難しいほうへ配分を寄せるのが基本になります。

ここが出る

課題曲は例年、前年の秋から冬にかけて公表されます。つまり前期受験なら本番まで半年前後の準備期間があるということ。「曲が出てから始める」のでは遅いというより、曲が出るまでに指と声の土台を作っておくと、公表後の半年をまるごと課題曲の仕上げに使えます。

採点はどこを見ているか

公式が示す評価の軸は「保育士として必要な歌、伴奏の技術、リズムなど、総合的に豊かな表現ができること」です。この一文を分解すると、見られているのは次の4つに整理できます。

観点具体的に何を見られるか失点しやすい場面
リズム・テンポ拍が一定に流れているか。曲が止まらないか難所の直前で減速する/弾き直して拍が飛ぶ
音程、声の大きさ、言葉の明瞭さ伴奏に気を取られて声が細くなる
歌と伴奏のバランス歌が主、伴奏が従になっているか伴奏が大きすぎて歌が埋もれる
表現・雰囲気幼児に歌って聴かせる場面として成立しているか楽譜と手元だけを見て、暗い表情で終わる

注目してほしいのは、4つのうち3つが「弾く技術」以外だという点です。難しい伴奏を弾けることが加点されるのではなく、幼児の前で歌う場面として成立しているかどうかが問われている。ピアノが不安な人ほど、この配分を味方にできます。詳しくは歌が評価を決める理由で扱います。

引っかけポイント

実技試験概要には、採点対象外になる演奏が明記されています。(1)全体を通して伴奏をせず歌だけを歌った場合、(2)全体を通して歌わず伴奏だけを弾いた場合、(3)歌と同じ単旋律のみを弾きながら歌った場合。とくに(3)は要注意です。「ピアノが苦手だから右手でメロディーだけ弾いて歌おう」という発想は、減点ではなく採点そのものがされない方向に踏み込みます。簡易化するにしても、左手の和音は残す必要があります。

音楽を選ぶべき人・避けたほうがいい人

実技は3分野から2分野を選びます。この選択は受験申請のときに行うので、申請前に決めておく必要があります。音楽については、次のように考えると判断しやすくなります。

選んでよい人慎重に考えたほうがいい人
両手で簡単な伴奏を弾いた経験がある鍵盤に触れたことがなく、練習できる楽器も手元にない
自宅や職場に練習できる楽器がある本番まで2か月を切っていて、ゼロから始めることになる
人前で歌うことに強い抵抗がない声を出すこと自体に強い苦手意識がある
コツコツ毎日15分の練習を積める練習時間がまとめてしか取れない

「楽器がまったく弾けない」場合、残る2分野は造形言語になります。ただし造形は当日までお題が分からず、言語は3分きっかりという時間の縛りがあります。どれも無傷では通れません。「一番ラクな分野」を探すより、「自分が毎日練習を続けられる分野」を選ぶほうが結果につながります。

本番までの練習の組み立て

時期やること到達点
〜3か月前使う楽譜を決める。難しければ簡易伴奏に差し替える2曲とも、止まりながらでも最後まで通せる
2か月前片手ずつ→両手。テンポは遅くてよいので一定にミスしても止まらずに進める
1か月前歌を乗せる。声を出して通す回数を増やす歌詞が口から自然に出て、伴奏に埋もれない
2週間前前奏・歌い出し・お辞儀まで含めた通し練習入室から退室までの流れが体に入っている
直前録音・録画して客観チェック。難所の部分練習は最小限本番と同じ手順を再現できる

順番を守ってほしいのは「歌を最後に乗せない」ことです。両手が完璧になってから歌おうとすると、歌の練習量が絶対的に足りないまま本番を迎えます。伴奏が7割の完成度になった時点で声を出し始めたほうが、最終的な仕上がりは高くなります。

音楽対策の記事一覧

テーマ内容
伴奏はどこまで簡単にしていいか減点されない簡易化の線引き、左手の型、崩してはいけない要素
歌が評価を決める声の出し方、前奏の作り方、歌い出しの合図、視線と表情
実技試験ハブ3分野の比較と、2分野の選び方
保育実習理論の音楽問題筆記側の楽典6問。実技とあわせて対策すると効率がいい

筆記の保育実習理論では、コードネームや移調といった楽典が例年6問前後出ます。実技で音楽を選ぶ人は、コードの仕組みを理解しておくと伴奏の理解も同時に進むので、筆記と実技を切り離さずに進めるのが得策です。

りわさんメモ

(ここに、りわさん自身が音楽を選んだ理由と、最初に課題曲を通したときの実感を1〜3文で書き足してください。例:楽譜どおりに弾こうとして左手が追いつかず、簡易伴奏に差し替えた。歌に集中できるようになってから急に形になった。)

よくある質問

ピアノが未経験でも音楽を選んで合格できますか。

可能性はありますが、条件がつきます。練習できる楽器が手元にあること、本番まで数か月あること、毎日短時間でも触れることの3つです。求められているのは演奏の巧さではなく「幼児に歌って聴かせる場面が成立していること」なので、簡易な伴奏でも到達できます。ただし歌だけ、あるいはメロディーの単旋律だけを弾いて歌うのは採点対象外になるため、左手の和音を含む形は必要です。

市販の簡単な楽譜を使ってもいいですか。

使えます。実技試験概要では紙の楽譜の持ち込みが認められており、市販譜でも自分で編曲したものでもかまいません。条件は、実技試験概要に添付された楽譜のコード進行を尊重すること。和音を別の進行に置き換えるのではなく、同じ進行のまま弾きやすい形に整えるという方向で選んでください。

暗譜しないと不利になりますか。

紙の楽譜の持ち込みが認められているので、譜面を見て弾くこと自体は不利になりません。むしろ本番の緊張で記憶が飛ぶリスクを考えると、楽譜は置いたほうが安全です。ただし楽譜に視線が固定されると表情や視線の評価に響くので、ほぼ覚えているけれど楽譜も置いてある状態が理想です。

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一次情報:一般社団法人全国保育士養成協議会 保育士試験こども家庭庁 保育士関連

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