アメリカのトランプ政権が2026年10月9日(現地時間)、ICC(国際刑事裁判所)そのものを制裁の対象に指定しました。これまでは裁判官や検察官などの「個人」が対象でしたが、今回は裁判所という組織全体に広がりました。ICCの所長は日本出身の赤根智子さんで、日本政府も反対を表明しています。
「制裁で何ができなくなるの?」「日本はどう関係するの?」を、図と表でわかりやすく整理しました。
- 米財務省(OFAC)がICC本体を制裁リスト(SDNリスト)に追加。米国の個人・企業は原則としてICCと取引できなくなる
- ただし運営維持などの取引を認める「一般許可」も同時に出され、主なものは2027年4月7日まで(約180日)
- 日本を含む8か国の外相が10月10日に共同声明で反対。ICCは「国際法秩序への攻撃」と反発
ICC(国際刑事裁判所)とは
ICCはオランダ・ハーグにある常設の国際裁判所で、戦争犯罪、人道に対する罪、ジェノサイド(集団殺害)など、とくに重大な犯罪をした「個人」を裁きます。国どうしの争いを扱う国際司法裁判所(ICJ)とは別の機関です。日本は締約国で、アメリカは締約国ではありません。
今回の制裁で何が起きた?
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発表日 | 2026年10月9日(米国時間) |
| 対象 | ICC(組織そのもの) |
| 根拠 | 大統領令14203号(2025年2月に署名されたICC関連の制裁の大統領令) |
| 主な効果 | 米国の管轄下にあるICCの資産を凍結。米国の個人・企業はOFACの許可がない限りICCと取引できない |
| 米国側の主張 | ICCが米国やイスラエルを不当に標的にしている |
| 同時に出た例外 | 一般許可13〜16(運営維持、通信・IT、年金、拘禁者の処遇) |
一般許可(例外)の中身
| 番号 | 認められる取引 | 期限 |
|---|---|---|
| 13 | 運営の維持・終了に必要な取引(加盟国の分担金、給与、医療、家賃、光熱費など) | 2027年4月7日まで |
| 14 | 通信、インターネット、サイバーセキュリティ、クラウド、業務用ソフトウェア | 記載なし |
| 15 | 一定の年金の支払い | 条件つき |
| 16 | ICCに拘禁されている人の拘禁継続と処遇 | ― |
10月9日から180日後は2027年4月7日(Bashで検算)。つまり、約半年の「猶予」はあるものの、その後どうなるかが大きな焦点です。
これまでの流れを図解
日本の反応は?
- 高市首相:9日夜、X(旧ツイッター)で米国の措置に深い懸念を示し、ICCを支える立場を表明
- 茂木外相:ルビオ国務長官に日本の立場を伝え、ICCへの必要な支援を続ける方針
- 8か国外相の共同声明(10月10日):日本、カナダ、デンマーク、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、英国が、米国の制裁に「強く反対」し、ICCの独立性を支持
ICC側は制裁を「国際法秩序に対する攻撃」として拒絶。赤根所長は独立性と公平性を保って任務を続ける考えを示し、締約国に支援を求めています。
【チェッカー】立場ごとに何が変わる?
このチェッカーは報道・公式発表の内容を整理したもので、法的な助言ではありません。取引への影響は米財務省(OFAC)の公表資料や専門家にご確認ください。
今後の注目点
1. 180日後にどうなるか
運営維持を認める一般許可13は2027年4月7日までです。延長されるのか、打ち切られるのかで、ICCの日常業務への影響が大きく変わります。
2. ヨーロッパなど締約国の対抗策
人権団体のヒューマン・ライツ・ウォッチは各国に非難を呼びかけ、EUに対しては域内への影響を和らげる法律を使うよう求めています。
3. 日本の役割
所長が日本出身であることもあり、日本がどこまで具体的な支援をするのかにも関心が集まっています。
よくある質問
ICC本体への制裁はいつ発表された?
2026年10月9日(米国時間)です。日本時間では10日にかけて報道されました。
ICCの仕事はすぐ止まる?
すぐに全部が止まるわけではありません。運営維持や通信・IT、年金などの取引を認める一般許可が同時に出ています。
赤根所長も制裁されているの?
2026年8月に赤根所長らが個人として制裁対象に指定されたと報じられています。
日本はどんな立場?
高市首相が深い懸念を示し、10月10日には日本を含む8か国の外相が「強く反対」する共同声明を出しました。
ICCとICJの違いは?
ICCは重大犯罪をした個人を裁く裁判所、ICJ(国際司法裁判所)は国どうしの争いを扱う国連の裁判所です。

