保育士試験では、直近の法改正・制度変更がそのまま出題されます。とくに保育原理・子ども家庭福祉・社会的養護・社会福祉の4科目は、テキストの版が1年古いだけで答えが変わる論点を抱えています。令和8年(2026年)に受験するなら、こども誰でも通園制度・育児介護休業法改正・保育士配置基準・児童福祉法改正の4つは押さえておいてください。
この記事は施行日を軸に整理しています。数字と施行日は必ずこども家庭庁 保育士・保育所関連ページなどの一次情報で確認してください。統計の最新値は【最新統計】保育士試験の合格率・受験者数の推移にまとめています。
前提:所管はこども家庭庁。厚生労働省ではない
令和5年4月1日、こども家庭庁が発足しました。保育所・認定こども園・児童福祉施設に関する事務の多くは、厚生労働省・内閣府からこども家庭庁に移っています。古いテキストの「厚生労働省」という記述は、そのまま答えにすると誤りになる場合があります。
| 制度・法令 | 施行・発足 | 押さえどころ |
|---|---|---|
| こども基本法 | 令和5年4月1日 施行 | こども施策の基本理念を定める法律。児童の権利に関する条約の4原則を踏まえる |
| こども家庭庁 | 令和5年4月1日 発足 | 内閣府の外局。保育所保育指針もこども家庭庁が所管 |
| こども大綱 | 令和5年12月22日 閣議決定 | こども基本法に基づく大綱。従来の3大綱(少子化社会対策・子供若者育成支援・子供の貧困対策)を一元化 |
「保育所保育指針の告示者」を問う設問に注意
保育所保育指針は平成29年告示のものが現行ですが、所管はこども家庭庁に移りました。設問で「厚生労働省が」と書かれていたら、正しい時点の話なのか引っかけなのかを読み分けてください。指針の読み方は保育原理で扱います。
こども誰でも通園制度(令和8年度から全市町村で本格実施)
令和8年受験者にとって、いちばん出題可能性が高いのがこれです。令和8年度から全国の市町村で本格実施されるため、時事性が高く、制度の名前と法的位置づけの両方が問われます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 制度名 | こども誰でも通園制度 |
| 児童福祉法上の事業名 | 乳児等通園支援事業(令和7年4月1日施行) |
| 対象 | 生後6か月から満3歳未満で、保育所等に通っていないこども |
| 利用時間 | 月一定時間(10時間)までの利用可能枠の中で、時間単位で柔軟に利用できる |
| 令和7年度の位置づけ | 地域子ども・子育て支援事業として一部の市町村で実施 |
| 令和8年度の位置づけ | 子ども・子育て支援法に基づく「乳児等のための支援給付」として全国の市町村で実施 |
| 経過措置 | 令和8・9年度は、実施が難しい市町村は条例で3時間〜10時間未満の範囲で時間を設定できる |
2つの名前を対で覚える
通称「こども誰でも通園制度」/法律上「乳児等通園支援事業」。この対応は選択肢のすり替えに使いやすい形です。
令和7年度は児童福祉法の事業、令和8年度は子ども・子育て支援法の給付という根拠法の移り方と、「保育を必要とする」要件がなくても使える点も押さえてください。
制度の詳細はこども家庭庁「こども誰でも通園制度について」を確認してください。
育児・介護休業法の改正(令和7年4月1日・10月1日)
令和7年に二段階で施行された改正です。社会福祉・子ども家庭福祉で「仕事と育児の両立支援」の文脈で出題されます。施行日が2つに分かれているのがポイントです。
令和7年4月1日 施行分
| 改正項目 | 改正内容 |
|---|---|
| 子の看護休暇の見直し | 名称が「子の看護等休暇」に変更。対象の子が小学校就学前から小学校3年生修了までに拡大。取得事由に学級閉鎖、入園式・卒園式などが追加 |
| 所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大 | 3歳になるまでの子 → 小学校就学前の子を養育する労働者へ |
| テレワークの導入 | 3歳未満の子を養育する労働者がテレワークを選択できるようにすることが努力義務に |
| 育児休業取得状況の公表義務 | 常時雇用する労働者数1,000人超 → 300人超の事業主へ拡大 |
| 介護離職防止 | 介護に直面した労働者への個別の周知・意向確認、雇用環境の整備が事業主の義務に |
令和7年10月1日 施行分
| 改正項目 | 改正内容 |
|---|---|
| 柔軟な働き方を実現するための措置 | 3歳から小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者について、事業主は5つの選択肢から2つ以上を選んで措置を講じる義務。労働者はそのうち1つを選んで利用できる |
| 個別の意向聴取・配慮 | 妊娠・出産の申出時、および子が3歳になる前に、労働者の意向を聴取し配慮することが義務に |
「柔軟な働き方を実現するための措置」の5つの選択肢は次のとおりです。
| 選択肢 | 要件 |
|---|---|
| 始業時刻等の変更 | — |
| テレワーク等 | 月10日以上 |
| 保育施設の設置運営等 | — |
| 養育両立支援休暇の付与 | 年10日以上 |
| 短時間勤務制度 | — |
あわせて創設された雇用保険の給付(令和7年4月1日)
| 給付名 | 内容 | 給付率 |
|---|---|---|
| 出生後休業支援給付金 | 子の出生後一定期間内に、被保険者と配偶者がそれぞれ育児休業を取得した場合などに支給 | 休業開始前賃金の13%相当額(最大28日) |
| 育児時短就業給付金 | 2歳未満の子を養育するために時短勤務をする被保険者に支給 | 時短就業中に支払われた賃金額の10%相当額 |
数字を混同しやすい箇所
小学校3年生修了まで(子の看護等休暇)と小学校就学前(残業免除、柔軟な働き方の措置)は別物です。年齢の区切りが選択肢の入れ替えに使われます。
また、事業主が講じるのが「2つ以上」、労働者が選ぶのが「1つ」。この数字の組み合わせもよく問われます。
改正の全体像は厚生労働省「育児・介護休業法について」で確認できます。
保育士の配置基準の見直し(令和6年4月1日)
76年ぶりの改善として大きく報道された改正です。3歳児が20対1から15対1、4・5歳児が30対1から25対1に見直されました。
| 年齢区分 | 改正前 | 改正後 | 実施 |
|---|---|---|---|
| 0歳児 | 3対1 | 3対1(変更なし) | — |
| 1・2歳児 | 6対1 | 6対1(基準は変更なし) | 1歳児は令和7年度から公定価格上の「1歳児配置改善加算」により5対1相当の配置を支援 |
| 3歳児 | 20対1 | 15対1 | 令和6年4月1日 |
| 4・5歳児 | 30対1 | 25対1 | 令和6年4月1日 |
経過措置があることまでセットで覚える
こども家庭庁の通知では、「当分の間は従前の基準により運営することも妨げない」という経過措置が置かれています。つまり全国のすべての園が即座に15対1・25対1になったわけではありません。
「令和6年4月からすべての保育所で3歳児15対1が適用されている」といった断定的な選択肢は誤りになりえます。基準の改正と、現場での適用は別だという読み分けが必要です。
1歳児の6対1から5対1への改善は、令和7年度から公定価格上の加算措置として進められているもので、配置基準そのものの改正ではありません。
児童福祉法の改正(令和6年4月1日・令和7年6月1日)
令和4年6月に成立した児童福祉法等の一部を改正する法律(令和4年法律第66号)は、原則として令和6年4月1日に施行されました。社会的養護と子ども家庭福祉の両方に効いてくる改正です。
| 改正内容 | ポイント | 施行 |
|---|---|---|
| こども家庭センターの設置 | 子ども家庭総合支援拠点と子育て世代包括支援センターを見直し、妊産婦・子育て世帯・こどもへ一体的に相談支援を行う機関として市区町村に設置(努力義務) | 令和6年4月1日 |
| 里親支援センターの創設 | 児童福祉施設として位置づけ。児童福祉法第7条第1項の児童福祉施設は13種類に | 令和6年4月1日 |
| 児童発達支援センターの類型一元化 | 福祉型・医療型を一元化し、地域の障害児支援の中核的役割を担う機関に | 令和6年4月1日 |
| 児童自立生活援助事業の年齢要件の弾力化 | 22歳という年齢上限を弾力化し、都道府県が必要と判断する時点まで支援を継続できるように | 令和6年4月1日 |
| 意見表明等支援事業 | こどもの意見聴取・意見表明を支援する事業を制度化 | 令和6年4月1日 |
| 妊産婦等生活援助事業/親子再統合支援事業/子育て世帯訪問支援事業/児童育成支援拠点事業/親子関係形成支援事業 | 支援の充実のため新たに制度化 | 令和6年4月1日 |
| こども家庭ソーシャルワーカー(認定資格) | 子ども家庭福祉の実務者の専門性向上のための認定資格 | 令和6年4月1日 |
| 一時保護開始時の司法審査 | 一時保護の際、事前または開始から7日以内に裁判官へ一時保護状を請求 | 令和7年6月1日 |
児童福祉施設は13種類。順番も覚える
助産施設/乳児院/母子生活支援施設/保育所/幼保連携型認定こども園/児童厚生施設/児童養護施設/障害児入所施設/児童発達支援センター/児童心理治療施設/児童自立支援施設/児童家庭支援センター/里親支援センターの13種類です(児童福祉法第7条第1項)。
里親支援センターが最後に加わったこと、そして児童相談所・こども家庭センター・保育所以外の子育て支援施設は児童福祉施設ではないという区別が、選択肢の作りどころです。
出題されやすい形と、この記事の更新方針
| 問われ方 | 対策 |
|---|---|
| 制度名と法律上の事業名の対応 | 「こども誰でも通園制度=乳児等通園支援事業」のように通称と法令用語をセットで覚える |
| 施行日の年月 | 令和5年4月(こども基本法・こども家庭庁)/令和6年4月(配置基準・児童福祉法改正)/令和7年4月・10月(育介法)/令和8年度(誰でも通園の本格実施)と並べる |
| 対象年齢の数字 | 小学校3年生修了まで/小学校就学前/満3歳未満/2歳未満が混ざる。表で覚える |
| 義務か努力義務か | こども家庭センターの設置=努力義務、柔軟な働き方の措置=義務、テレワーク=努力義務 |
| 数字の入れ替え | 20→15、30→25、2つ以上/1つ、13%/10%。改正前後を逆にした選択肢が定番 |
「全面実施」「すべての」に反応する
配置基準にも、こども誰でも通園制度にも経過措置があります。「すべての保育所で」「例外なく」といった全称的な言い回しは、経過措置の存在によって誤りになるのが定番です。逆に「当分の間、従前の基準によることも妨げない」のような但し書きが入っていれば、正解の可能性が上がります。
りわさんメモ
(ここに、りわさん自身が受験したときの実感・失敗・工夫を1〜3文で書き足してください。例:法改正は後回しにしていたが、試験直前1週間でこの表だけ回したら本番で2問拾えた。)
この記事の更新方針
法改正まとめは毎年更新して使い回す設計です。年度が変わったら次の4点を差し替えてください。
| 更新箇所 | 確認先 | タイミング |
|---|---|---|
| 新たに施行された法令・制度 | こども家庭庁 政策ページ、e-Gov法令検索 | 毎年1〜2月 |
| こども誰でも通園制度の実施状況(経過措置の終了など) | こども家庭庁「こども誰でも通園制度について」 | 毎年4月 |
| 配置基準・公定価格の加算措置 | こども家庭庁 予算関係資料 | 毎年1月・4月 |
| タイトルの年号(【令和◯年受験者向け】) | — | 年度切替時 |
施行から年数が経った改正も、旧版テキストで勉強している人には必要な情報なので、表からは落とさずに残す運用にしています。
よくある質問
法改正は保育士試験で何問くらい出ますか?
問題数は年度によって変わり、公式に「法改正から何問」という枠が公表されているわけではありません。ただし子ども家庭福祉・社会福祉・社会的養護では最新の制度動向を前提とした設問が例年含まれます。1問1点ではなく、古い知識のまま解くと複数科目で失点する点が問題です。制度名と施行日だけでも押さえておく価値があります。
テキストが1年前の版でも大丈夫ですか?
本体の学習には使えますが、法改正・統計の部分は補う必要があります。とくに所管官庁(こども家庭庁)、児童福祉施設の種類(13種類)、配置基準(3歳児15対1、4・5歳児25対1)、こども誰でも通園制度は、1年前の版だと記載がないか古い可能性があります。この記事の表で差分を埋めてください。
改正の施行日は、いつ時点のものが出題されますか?
試験問題は実施日の一定期間前に作成されるため、直前に施行された制度がそのまま出るとは限りません。ただし「令和8年度から本格実施」のように事前に決まっている制度は、実施前から出題される可能性があります。施行済みか未施行かではなく、制度の内容と根拠法をセットで覚えるのが安全です。
